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それから割とすぐ、ミナミさんから連絡があって、パーティードレスを数枚持ってきてもらった。
スカートがふわりと広がっている薄ピンクか、
ストンとしたデザインの黒か、の2つにしぼる。
並べてみたり、着てみたり、
散々迷った挙句、薄ピンクにすることにした。
「優柔不断ですいません…」
「Aちゃんなんでもよう似合うから、選びがいあってん」
「いやいやそれ、ミナミさんに言われたくないですって、今日なんて着物、似合ってます」
「ああこれ、実家、呉服屋やねん」
「じゃあ普段から着物なんですか？」
「実家で働いとるから、うん、着とるよ」
「なんで…」
「ほら、デザイナー駄目になってもうたし。今は、京都にある本店の実家と、支店のある東京を行ったり来たり」
「そうなんですか…あ、もしかして成人式のって…」
「うちの店の！」
ショウさんは1回も顔を見せない。
隣の部屋で、ずーっと絵を描いてる。
それを気にしてるのか、
ミナミさんから口にした。
「ショウ、怒ってるん？」
「いや、怒ってるわけでは…」
「…私がデザイナー辞めてから、いつもや。会う度に、こうやって、気まずくなってく」
「……」
「もう、あの頃の私達には戻れへんのかなあ、」
「…あの、ショウさんの、せい？」
「え？」
「もう、デザインしないのって」
「……そう、ショウ言っとった？」
「…俺のせい、って」
「ふふふ、もう、何年経つんやろ。あれから」
帰る支度を進めながら、
ミナミさんがふと遠くを眺めた。
その様子が、
この前のショウさんの姿と重なる。
……同じ、目の色してる。
「きっかけはね、ショウやけどね、」
「……」
「結局は、私が逃げたから。ほんとは、いくらだって…食らいついていけば、いくらだって」
カタン、と家中に響く音がした。
ショウさんが、イーゼルから外したキャンバスを、床に立てかける音だ。
もう、何回と聞いてきた音。
「……ほんまは、動揺してるんよ」
「動揺？」
「ショウも、描けなくなってたんに。私達、同じはずやったんに」
ミナミさんも、ショウさんに声を掛けることなく、玄関のドアに手をかけた。
「いつのまに、他人に作品見せれるようになったんやろ、」
「……ミナミさ、」
「Aちゃん、ショウに何したん？」
そのまま振り返ることなく出て行く。
………何した、って…
今の、まるで、
ショウさんが絵を描くようになったのは、私が何かしたからみたいな言い方。
何も、してないのに。
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
