☆172 ページ37
すぐ目の前で、
諦めを帯びたショウさんの瞳が揺れる。
……ああ、
そんな顔しないでください…
きゅううと胸が苦しくなる。
なんで、そんなに自分を粗末にするの？
その才能も、性格も、私には勿体無いくらい価値があるものなのに。
本人は興味ないみたいだけど、連れ立って街を歩けば女の子が振り向くようなルックスだってことも知ってる。
どうして、こんなに。
どうして、こんなに私に良くしてくれるんだろう？
「………ショウさん、は………」
酔いによる頭痛と、
それから、心理的な緊張。
言葉にしてしまうのが、こわい。
私がそれを問うのも。
相手から答えを聞くのも。
でも、もう見て見ぬフリができないとこまできてて。
目を固く瞑る。
覚悟を決めて、声を振り絞った。
「ショウさんは、私のことどう思ってますか……？」
しいん……、
反応が、ない。
スッと冷めていく感覚。
後悔だけが強くなる。
泣きそうになって、
目を開けようとした瞬間
ドスンとショウさんの体重が落ちてくる。
「ショウさ……、？」
「………」
「あ、あの…？」
「………」
「……重いん…です、けど……」
「………」
応答ゼロ。
代わりに、どんどん重くなってく………、え？これ、加減してなくない？？
ぱっ、と目を開けると、
容赦なく私の上に乗っかっている体、ショウさんの顔からは、スースーと規則正しい音。
「………寝て、ます？」
「………」
「寝てますね……」
んしょんしょ、と頑張って
上に乗っているショウさんの体を押して、隣におろす。
お、もい…！
ただでさえ回らない頭で、どうにかこうにかその作業を終えて、溜め息をつく。
寝てる……、ってことは、さっきのも聞いてなかったってこと？
え？ていうかいつから？？
顔が熱くなっていくのがわかる。
わ、私ってば、何て事言ったんだろう！
ショウさんが寝ててよかった！
どう思ってますか？なんて。
あまりの恥ずかしさに、顔を覆う。
落ち着け、落ち着け私。
ショウさんは聞いてなかったんだから。
そうっ、とショウさんの顔を覗き込む。
無邪気な寝顔。
さっきまで苦痛に歪んでいたのが、嘘みたいな。
思い起こせば、
ここ最近は大きな依頼ばかりで、私が避けている間もきっとその作業を黙々としていたのだろうから、あまり寝てなかったに違いない。
じっくりと見れば、目の下にはクマ。
勝手に避けていたことが、申し訳なく思えた。
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
