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永瀬くんは、Aちゃんの住んでいる場所を知っていると言った。
やっぱり、さっきの話はほんとなんだ。
カレーを一緒に食べた話。
聞けば、私の住んでるところの隣町だったから、同じタクシーで帰ることにする。
永瀬くんはAちゃんで手一杯だから、私が荷物持たなきゃいけないのもある。
タクシーの中では、無言だった。
…わたしだって、永瀬くんに聞きたいことは、たくさんある。
あれからすっごく心配したんだから。
あのとき、私が引き留めてたら…って何度考えたことか。
勝手に責任感じて、でもなにが正解だったのかなんてわかんなくて。
……それももう、ずいぶん前の話だけど。
どれだけ思っていたって、
なにも起きなければ時と共に感覚は風化していく。
それに、前といったって、この数年で自分も随分大人になった。
途中で、永瀬くんが不意に
「いろいろ、ごめん」と言った。
その一言で、私は納得できるわけがない。
だけど、これ以上私が怒ることでもないと思った。
必要なのは、Aちゃんに謝ることだと伝えたら
永瀬くんが窓の外を見たまま、言う。
「俺、ほんとはダメなんだ。全部捨てなきゃいけないはずなのに」
「それ、前も言ってたよね？なんで？」
「そう言われたから」
「言われた？人に？」
「そ」
「言われたら、ああそうですかって切り捨てられるような存在なの？私たちって」
「………最低な奴だって思ってくれていいよ」
「ちがうの、そうじゃなくて、ちゃんと理由が知りたいの」
「え？」
「永瀬くんは、そんな人じゃないもん…っ。なにか特別な理由があるに決まってる」
「……」
「永瀬くん？」
「…いや、心愛、俺のことそんな風に思ってたんだなあって」
「あ、…あたりまえでしょ！人柄はね、絵に表れるの！私がどんだけそれ見てきたと思ってるの」
「……さんきゅ」
私のほうを見た永瀬くんは、
ちょっぴり照れ臭そうにはにかんだ。
それが、昔の永瀬くんそのままのようで。
私が恋心を抱いた、あの頃の。
甘いような苦いような感覚に浸っていたら、どうやら目的地に着いたらしく
Aちゃんをおんぶして先に出た永瀬くんを追うように、
運転手さんに少し待ってもらうようお願いして、Aちゃんの荷物を持ってマンションのなかへ入った。
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
