☆164 ページ29
「永瀬くんに会っ、た……？」
心愛ちゃんが持っていたお箸を落とした。
慌ててお店の人を呼んで、取り替えてもらう。
あれから1週間。
どうにもこうにも1人だと気持ちの整理がつかなくて、心愛ちゃんに連絡を取って会うことにした。
ショウさんとは、なんだかんだ理由をつけて極力会ってない。
仕事が終わったら、逃げるように事務所からすぐ帰る。
授賞式から私の家でのことまで、ひと通り話すと、心愛ちゃんは複雑な顔をした。
「とりあえず、永瀬くんの安否がわかってよかったけど…」
「安否って」
「だって、そうでしょー？突然連絡つかなくなるなんて信じらんない」
「……なんで、そんなことしたんだろう」
「…様子は？変じゃなかった？」
「授賞式のときは、別人みたいだったけど…家で話したときは、昔の廉そのまんまで」
「私が最後に話したときは、本当に変だった。こわかったの。」
「笑顔が、冷たかった？」
「うん。Aちゃんもみた？」
「授賞式のとき。私自身相当動揺してたから、なんとも言えないけど」
居酒屋のガヤガヤとした騒がしさと、
話の内容が酷くミスマッチだ。
それでもお互い初めて来た明るいと評判の居酒屋にしたのは、少しだけでも空気を軽くしたかったから。
「消せなかった、ってことは、他の人の連絡先は意志を持って消したってことよね」
「うん、…そうなる」
「永瀬くん、理由もなくそんなことする人じゃないと思うんだけどなぁ」
「でも、廉、なにも言ってくれないんだもん」
「……」
「なにも聞くな！ってオーラ全開でさあ…もームカツク…なんで1人で抱え込むかなあ……」
「ちょ！Aちゃん！」
「なーに」
「そんなに飲んで大丈夫？」
話していたらムカムカしてきて、
お酒の力に頼ってしまう。
そうでもしてないと、気持ちが抑えきれない。
そうだ、廉は1人で抱え込んでばっかり。
昔から私が頼りにしすぎてたのが、よくなかったのかな。
私が、もう少しでもしっかりしてたら、廉も頼ってくれてたのかな。
もやもやとした気持ちを振り払うように、ビールジョッキを傾けてたら、
不意に横から手が出てきて、ジョッキを止めた。
「いや飲みすぎやから」
その人の顔を見て固まる。
手が触れてる。
それだけで動けなくなって、ビールジョッキを取られてもどうすることもできない。
心愛ちゃんが、大きな目をまるまるにして、叫んだ。
「永瀬くん何でいるの！」
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
