スターダスト・ノスタルジア ４

☆148 ページ14

「おめでとうショウ」



不意に女の人の声がして、
真正面からスラッとした美人がやってきた。

オーラがすごい。
ショウさん、こんな人とも知り合いなのか…


「……ありがとうございます」

「久しぶりね、元気にしてた？」

「…ええ」



ショウさんの固い声。
不思議に思って、顔を見上げたら、


睨んでいた。女の人を。

あの、ショウさんが、
人を睨むなんて……



「“パートナー”、変わったの？」

「……るせぇな…」

「あら怖いわ、そんな言葉遣いして」

「何の用っすか？ちなみに、この子はデザイナーじゃないけど」

「酷いわねえー！挨拶したいだけなのに。ああ、あの子元気？」



少なからず、ショウさんは、この人に敵意があるのは確か。
会話だけじゃ、詳しくわからないけれど。

……もしかして、
ミナミさんと関係して、たり。
デザイナー、って…。



「そんな警戒しなくていいのに」

「…俺が、何とも思ってないとでも？」

「そんなにあのデザイナーだった子のことに気に入ってたの？ごめんね」

「そういう問題ちゃうやろ！」

「ショウのこと手に入れなかったのは今でも残念だけれど、もう諦めたわよ、本当にごめんね」

「……立花さんさあ、あの頃から、何も、変わってへんのな」

「変わってないって、褒め言葉として受け取っとくけど」

「……」

「ああでも、いい原石見つけたの。ショウと同等か、それ以上の」



長妻くん、まだかなあ。

よくわからないけど、これって結構やばい展開な気がする。

長妻くんに電話でもしようかと、ケイタイを手にして画面をスクロールしていた時だった。




「立花さん、こんなとこ、いたんですか」


此方に向かってくる足音と共に、
低音の男の人の声がした。

声だけを聞いても、何とも思わなかった。
思わなくて_____電話の発信ボタンをタップしながら耳に当てて、ふと顔を上げた。






ためらいは、一瞬。





・

「丁度いいとこに来たわ、昔の教え子と話してたとこなの」

「あ、どうも」

「自己紹介して？」









「永瀬廉です」









耳元のケイタイから、長妻くんの声が小さく聞こえるけれど、
何も反応できない。



頭が、真っ白になって。



嘘だ、って。

こんなの、嘘だ。



「はじめまして」




そう言って軽く頭を下げると、
ショウさんを見ていた視線が私の方へ向く。

目が、合う。

身体が震えて、
ケイタイが手から滑り落ちた。



廉だ。

……目の前に、廉がいる…

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