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「紫光、という画家がいたのを覚えていますか？」
タカツさんが話し始めると、ショウさんはつまらなさそうにソッポを向いた。
そして、私の中の微かな記憶が浮かび上がる。
この…タカツさんとかいう人、みたことあるような……
高校生のとき、
そう、初めてショウさんに会ったとき
あのアトリエで、ショウさんを連れて行った……
「デビューと同時に数々の賞を掻っ攫ったと話題になり、顔や声、本名さえも非公開でありながらも一躍日本画界のトップになりましたよね。皆さん1度は耳にしたことあるのでは？」
絵のことについて全く詳しくない私は、タカツさんの話はピンとこないけれど、
会場の客たちや他の審査員は何か思うところがあるようで、真剣な雰囲気だ。
「しかし、紫光はある日突然この業界から消えていきました。その理由は、当時マネージャーであった私ですら知りません。ただ一つ、言えるのは、
今ここにいる、審査員特別賞を受賞した、この平野ショウこそが、紫光だということです」
今日いちばんの騒つきをみせる会場。
そんな混乱した目の前の状況をみても動じることなく、ショウさんがソッポを向いたままで言う。
「デビュー当時は、俺、中学生だったから…人前に出れるはずないし。俺の顔と名前知ってたの、マネージャーだったタカツさんと、一部のお偉いさんだけじゃない？」
そこからは、もう、大騒ぎ。
授賞式が終わって食事会になると、
周りには人、人、人、とにかく人だかり。
でも話しかけられてもショウさんは返事せず、ひたすら食事してるから、
仕方なく私が事務所の電話番号とメールアドレスを教えて回ることに。
…まあ、こういう役割で、私呼ばれてたから、文句はないけれど。
それにしたって、ひとりじゃ、人を捌ききれなくて、
ショウさんも疲れたとかなんとかで、会場を抜け出して帰ることに。
ホテルのロビーで、長妻くんが待っててくれた。
「長妻くん、この度はお世話に…」
「わーちょっと、Aちゃん大丈夫？ボロボロじゃん」
「……疲れた…」
「おつかれい！てことは、平野先輩、結果よかったの？」
「審査員特別賞だって」
「すげえ！わかんねえけど！」
「あーもういいよ、俺も疲れてん、帰りたい」
「はいはい。あ、車駐車場に停めてんだけど、表まで出すから、ここまで待ってて？」
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
