☆175 ページ40
「ほんと、損したよ」
そうやって言う目が、ほんとに優しくて。
軽くキスをひとつ落とすと、
まだご飯食べてる最中だった、あっは！って笑って、
それで、この話は終わりになった。
自惚れてる、のか。
確かに、明確な言葉はない。
好きとか、愛してるとか、似合わない人だなあとは思うけど。
ああ、ほんと、似合わない。
そもそも、あのキスはなに。
まさか挨拶代わり？
ばかな。軽すぎる。
いや、でも…ショウさんならありえるか…？
はっ、と我にかえる。
いけない、このレポート明日提出なのに。
かなりピンチだ。
家に居て寝てしまうのが1番の恐怖で、わざわざこうやってカフェにまで来てやってるのに
関係ないこと考えてたら意味がない。
もう1度参考資料に目を通して、パソコンのキーボードを打ち始める。
「ほんとっすよ〜、俺の地元、めちゃくちゃ田舎すから」
偶然、近くで話していた人の声が耳に入った。
ただそれだけだった。
たまたま聞こえただけで、まるでBGMのように。
それは男2人組の会話で、
話し方から察するに職場の先輩後輩といったところか。
特に意識することもなく、
なんとなくしか聞いていなかったので、どうしてそんな事を言うような話の流れになったのかは謎だけれど
不意に一つの言葉がクリアに聞こえた。
「星、好きですよ？」
_____この声、知ってる。
直感的に思った。
「昔、よく見たんすよ……へ？ああ、田舎はよく見えるんで。俺めっちゃ詳しいっすよ、…………いーや全然、ここらとは比べものにならない感じで」
キーボードを打つ手が止まる。
カフェはそれなりに混んでて、騒がしいというのに
この声だけは、はっきり聞こえる。
「幼馴染と見に行ったんすよ、もう毎日みたいに…は？いやいや、男2人なわけないじゃないっすかあ！…たりまえすよ、女！………まあ、正直星なんてどうでもよかったんすけどね…」
鼓動が速くなる。
もう誰か何て、言わなくてもわかる。
どうしよう。
きっと、このままここにいたら
後には戻れなくなる。
なのに動けない。
聞きたいと思ってる自分がいるからだ。
どんなふうに、おもっているのか。
今まで見えてこなかった、彼の気持ち。
「ただ、2人でいたかっただけっていうか。………なんすかもう、…聞いてたらわかるじゃないっすか、幼馴染でしたけど……はいはい先輩の言うとおり、好きでした！」
手が滑って、持っていたアイスティーを落とした。
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れー。 - トラウマになりそうなほどに切なく物語を思い出すだけで胸が締め付けられます。こんなに感情が動いた作品は今まで読んできた小説で圧倒的に一番です。映画やドラマにしてほしいほどこの小説に惹かれてしまいました。大好きな作品です！ (2018年6月27日 10時) (
レス) id: 4792958e4f (このIDを非表示/違反報告)
まお(プロフ) - 一番好きな作品です！！もう、10回ぐらいは読み返しました笑 定期的に見たくなります！ (2018年4月1日 0時) (レス) id: 7fb9479a8f (このIDを非表示/違反報告)
夏 - あー、頭がどうにも可笑しくなりそうです笑この作品を見ると、生まれた場所の東京と今居る田舎の県と、交わって感情移入がしやすいです。教えてくれたあの子に感謝。 (2017年1月21日 8時) (レス) id: ec0b94023c (このIDを非表示/違反報告)
むむ(プロフ) - この作品が占ﾂｸで一番好きです！いきものがかりさんのラストシーンにぴったりでこの曲をきくとこの作品を思い出してなきそうになります。お勉強頑張って下さい！ (2017年1月18日 20時) (レス) id: 092114e7d9 (このIDを非表示/違反報告)
なっぴぴ(プロフ) - 更新されててすごいびっくりしました！ほんとにうらつくの中で1番好きな作品です>_< (2017年1月18日 13時) (レス) id: d6fe05cabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆい☆
| 作成日時：2015年12月29日 10時
