検索窓
今日:2 hit、昨日:3 hit、合計:10,403 hit

弐、 りんご ページ3

「姉……ちゃ ん、どこ?」


  『!』



鬼を仕留めそこなったか。それとも迷子の子供が来たのか。

と思い素早く振り返ると、私の予想はどちらも違っていたようだった。


先刻斬った鬼が、身体が崩れていく中、力無く呟いていたのだ。




  「姉、ちゃん……おりんご…むいてよ……」


  『……お姉さんが居たのね…』



きっと、彼のお姉さんは、弟の為によく林檎を剥いてやっていたのだろう。

死の間際に鬼が、人間だったころのおぼろげな記憶を思い出して、感情を呼び起こすことは、珍しくない。


私は自分の懐から巾着を引っ張りだし、もう首の上しか残っていない鬼の彼の傍にしゃがむ。



  「…おりんご………食べたいよう…」

  『…ほら。』



言いながら、巾着の紐を緩めて林檎を取り出した。

非常食兼おやつとして、たまたま持ち合わせていたものだった。


もう一度懐に手をやり、小刀を出す。

さっと皮を剥いて小さく切り分け、彼に差し出した。



  『おりんごだよ。』


  「…………!」



最早、顔の一部しか残っていない彼は大きく目を見開いた後、そっと口を開けた。

林檎の一欠けらを、ぐっと口に押し込んでやる。




しゃり、と音がして、彼が林檎をかじると同時に、






  バ サ ッ




彼は塵になって消え失せた。

かじりかけの林檎のかけらが、ころりと地面に転がった。




  『………………』



鬼の彼は、消え失せる刹那、私に微笑みかけてきた。


すぅ、と息を吸うと、彼が居たほうから、感謝の“味”がした。





  『生まれ変わったら、今度はお姉さんに、林檎剥いてもらうんだよ。』




もう誰にも届かないであろうその言葉を呟き、立ち上がった。


……鬼は、鬼殺隊である以上、斬らなければならない。

けれども、私は信じている。



  人と共存し、仲良くできる鬼は、

  きっと、現れることを。









  「よォよォ、久しいじゃねぇか。屋土様よォ!」




。:+.゜。:+.゜。:+.。:+.゜。:+.゜。:+.゜。:+.。:+.゜。:+.゜。:+.゜。:+.:+.゜。:+.。:+.゜


しょっぱなからシリアス気味ですみませんね…

夢主ちゃんの性格や希望、特性などが設定のページだけじゃ収まらなかったので。


お察しかと思いますが、夢主ちゃんは味覚がかなり優れています。

例えば、その場の空気を吸うだけで、相手の心情を読んだり出来ます。

参、 音柱→←壱、 悪鬼滅殺



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (10 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
20人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 愛され   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あい - 不死川さんの漢字間違っていますわ (2020年9月26日 10時) (レス) id: 317a966a03 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:木苺の星 | 作成日時:2020年5月25日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。