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48:Orion ページ49

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講義終わり彼に手を引かれ連れてこられたのは私のバイト先。

窓際の指定席に鞄を置いた彼はさっさと私の手を取ってショーケースの前に立った。





「苛々してる。どうかした?」

「いや何もねェ」

「…女の子からまた何か言われた?」

「こういう時の勘の鋭さは一流だな」





「糖分補給でしょ」と笑うと小突かれたけれど、どこか覇気が無かった。





「……実弥君」

「あー?」

「…実弥」

「っ、」

「さね君」

「お前ェ本当やめろ…」





ショーケースに向かって実弥君の名前を3回呼ぶ。
隣を見上げれば片手で顔を押さえる彼の首が火照っていて。


「どの呼び方が良い?」と聞くと、真っ赤な顔が「…2番と3番」と漏らした。





どうやらスコーンに決まったみたいだけど、私以外の店員さんには甘党とバレたくないのか中々レジに行かない。


甘党なんて誰も笑わないのに。でも私だけ秘密を知っている事がどうしようもなく嬉しかった。





「私一緒に頼んどくよ」

「……いいのか?」

「任せて!」





彼はぶっきらぼうに返事して席に戻っていった。
それを見ていた先輩は「彼氏愛想なく無い?」なんて耳打ちしてきたので笑ってしまった。





「心配しないで先輩。彼は世界一可愛い人だから」

「ええあれが〜?」





訝しげに実君を見る先輩に注文をして、トレーに出てきたそれを持って窓際へ向かう。





「お待たせ」

「…ありがとな、A」

「ううん、私がしてあげられるのってこれくらいしかないから」

「ンな事ねェ。いっぱい貰ってるっつの」





何の事だろう。クリスマスも数時間しか一緒に過ごせなかったし実君にプレゼントをした事は無いけど。

悩んでる私の顔が面白かったのか、目の前の彼が笑った。





「凄ェ癒してもらってる」

「…私が?」

「お前居ねェと大学来てねェわ」

「嘘だ〜宇髄君居るじゃん」

「彼奴は癒しの対象じゃねっつの」





スコーンを頬張ろうとして開けられた口が停止する。
するとばち、と目が合ってその瞳は愛しげに私を眺める。





「な、何?」

「…キスしてェ」

「ばッ…いきなり…!」

「糖分補給だァ」





そういう間にも、彼の顔はどんどん近づいてきて。
こつんと鼻先がくっつく距離まで身を乗り出した彼は笑う。





「幸せにすっから。早よ食わせろォ」





がぶっ。_蜂蜜の香りと共に実君は一番甘いキスをした。





銀髪とスコーン




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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時

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