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46:Alnair ページ47

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「……実弥君…?」

「_あァ、そうか。そういう事かィ」





目を見開いて私を凝視した実弥君は、そう呟くと私の腰を強く引き寄せ、幸せそうに優しく目を細めた。

訳が分からない私はただその息の近さにどぎまぎする。





「…お前あん時から俺の事好きだったんか」

「…っう、ん。気付いたのはさっきだけど…」

「へェ」





一層実弥君の瞳が嬉しそうに深められる。
だけど、覚えてないならどうして? 実弥君は…。
私の事、いつから好きになったんだろう。





「_お前を好きになったんは2年前だァ」

「に、2年前…!? まだ出会ってないよね…?」

「…俺が一方的にお前を知ってた」





―……高2の初め、女共の間で俺と付き合ったやらホテルに行っただと根拠もねェ噂が流れて学校が嫌になってて。


終いには振った女が、付き合ってもねェのに「散々弄ばれて捨てられた」だの…正直メンタルやられてた所だった。





…甘ェ匂い……





ただ苛々していて何でもいいから糖分を補給したかっただけの、立ち寄ったカフェ。
 _そん時の店員がAだ。


甘ェ匂いの先にはスコーンがあった。
けど俺がここでスコーンを頼めば顔に見合わないと思われる。



「…カフェラテで」



違ェだろ、俺は何の為に入ったと思ってんだ。
けど結局苦いカフェラテだけを受け取って席に座った。

 ……その後だった。お前が俺に話しかけたのは。





「_お、お待たせしました!」

「……コレ」

「見られてたので…それに、カフェラテに凄く合うんですよ。どうしても食べて欲しくて」

「いや、」

「あ、お代は結構です! 私の勝手にしてる事なので! …失礼しました!」






トレーを置くと俺にお辞儀して脱兎の様にAは戻って行った。
…何だあの女。滅茶苦茶ビビってたくせに。

けど確かに彼奴からスコーンと同じ蜂蜜の香りがして、些か俺の苛立が治っているのを感じた。



――甘ェ



気付けばスコーンも苦いカフェラテも無くなっていて。
彼奴の働く姿を窓際で眺めながら、どんな甘い菓子を頬張るよりも遥かに穏やかな気持ちになってた。





「_私…昔の実弥君が好きなんじゃなかった」

「……あァ」





_俺も、2年前からお前が好きなだけじゃ無ェ。





今の実弥君も、大好きなんだ(昔からお前が好きだったんだ)





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47:Spica→←45:*Lyra*



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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時

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