41:Equuleus ページ42
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『昔好いていた人と恋人になるのもまた幸せかもしれないわ。だけどそれって頭でしか考えてないじゃない?』
「頭でしか…? 他にどこで考えられるっていうの?」
『心よ、Aちゃん。…頭で幾ら否定しても、ドキドキしたり、ふとした瞬間に堪らなく会いたくなったり、思い出したり……心が動いてる事、無い?』
_思えばいつも、実弥君と一緒にいる時は心臓が煩かった。
あれはずっと心で私は考えていたんだ。
『約束なんて守れない事の一つや二つあるわよ! 私は、ドキドキして、会いたいわって人が、Aちゃんの本当にかけがえのない人だと思うの! そしてその人がAちゃんが、幸せになれる人だと思うわ』
「本当に……幸せになれる人……」
蜜璃ちゃんと長い間話し込んでいたみたいだ。
時間はもう深夜の1時を指している。
_早く寝ないと、明日は善逸君とデートだから。
「…やばっ! あと1時間しかない!」
寝坊した!
待ち合わせの時間が迫っている。
慌てて昨日決めた服に着替えて急いでいるなりに手の込んだ化粧をする。
時計を確認すると15分前。走ったらギリギリ電車に乗れる。
「…っごめん善逸君! お待たせ…っ」
「Aちゃん! 走ってきたの? 今来た所だから平気だったのに…でも今日は一段と可愛い」
「が、頑張った…!」
「えへへへ俺のために頑張ってくれたの? 嬉しい。本当にAちゃんが一番可愛い」
善逸君はどんな時でも私に可愛いと大好きをくれる。
頼りないけど、酷く優しくて大切にしてくれる人。
こんなに素敵な人を手放したら二度と会えないから。
「さ、行こっか!」
「ん!」
元気よく差し出された冷たい手を握る。
きっと待ってない、なんて言っておきながら彼は何十分も前からここに居たんだろうな。
その優しさに罪悪感が生まれた。
「Aちゃん、今日は俺が考えたデートプランに付き合ってくれる?」
「うん。ありがとう!」
「よおし、じゃあ早速映画館へいきましょう!」
「ふふ、はい!」
善逸君とランチをしてわ映画を見て、ショッピングモールを回って……。
善逸君と居ると楽しくて友達と居るみたいだ。
気付けば辺りは暗くなっていた。
「……そろそろ、家…向かお?」
「うん、」
少しだけ大人の雰囲気になって、手を握り直された、その時。
_ひんやり、小鼻の頂に冷たい滴が落ちた。
「__……雪だ……」
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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時