銀髪とスコーン【不死川実弥】

40:Antila ページ41

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「お疲れ様です！」

「…お疲れ星奈ちゃん。最近元気無いね。大丈夫？」

「え？ ……あ…ちょっと、寝不足で……テスト近いんで！」

「…そう？ あんまり無理しちゃだめだよ」

「はあい！」





バイト終わりそんな事を言われた。
いつかの日のように渡されたラテ。

この前見たイルカのキーホルダーに、私は頭がいっぱいだった。





「あ、連絡入ってる…」





善逸君からだ。
内容は、明日のデートの話。

……そう。明日はクリスマス。善逸君のお家にお邪魔する日。


それなのに私は、実弥君で悩まされて素直に善逸君と楽しめないような気がしていた。





ブー＿






「…？ 誰からだろ、」





一度机に置いた携帯がまた震え出す。
LINEの通知を受け取ったそれを手に取ると、意外な相手からだった。

"蜜璃ちゃん さんから新着メッセージがあります"





「蜜璃ちゃん？ なんだろ」





"元気？？"
"少しお話ししたい事があるんだけど、電話いい？"


蜜璃ちゃんには珍しい絵文字も何も無い連絡。
急いで着替えて電車に乗り、15分後に電話の約束をした。





ブーッブーッ





「…もしもし？」

『Aちゃん。久しぶり！ 元気だった？』

「うん。蜜璃ちゃんも元気そうで良かった！」





部屋着に着替えた時、丁度蜜璃ちゃんから電話がきた。
いつもと変わらない蜜璃ちゃん。だけど少し声色が低かった。





『突然ごめんね。…でも、伊黒さんから頼まれて』

「…っえ、小芭内、から…？」

『貴方がね、本当は好きじゃない人と付き合ってるって聞いたの』

「……な、何言ってるの？ 私ちゃんと好きな人と付き合ってるよ？」





間違った事なんて言ってない筈なのに、声色が震える。





『伊黒さん、Aちゃんをずっと心配してたわ。今の人じゃAちゃんは幸せになれないって。伊黒さんは、貴方に幸せになってほしいのよ』

「私、今でも幸せだよ…」

『Aちゃん…。不死川さんが好きなんでしょ？ あの人の為にお洋服を決めるAちゃんの顔が一番楽しそうだったわ』

「……っ実弥君は、付き合えないの。だって……昔助けてくれた男の子と幸せになるって決めてたから…」





そう言うと、電話越しの蜜璃ちゃんが寂しそうにつぶやいた。





『幸せって…ずっと昔から計画してた事を達成させるだけの事じゃないと思うの』

「え？」

『恋に関して言えばね…恋なんて、約束や計画通りにいかないものがほとんどなのよ』





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