39:Cygnus ページ40
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_季節は移り変わり、12月。冬。
あれから1ヶ月。私は小芭内と関係を断ち、実弥君と宇髄君にも関わらなくなった。
「善逸君、お待たせ!」
「待ってないよう!…Aちゃん手袋デビューしたの!? 可愛いいい」
「ありがと…!」
すっかり木々は枯れて、学生の何人かはコートを着ている、そんな寒い季節。
「もうすぐクリスマスだねえ」
「そうだね」
「…あのさ、Aちゃん…!」
「うん?」
何だか上ずった声の善逸君を見ると、真っ赤になって私を見つめていた。
「く、クリスマス…で、でででデートしない!? お家で!!」
「お、お家デート…」
「あ、いや、その…嫌だったら全然!! 断ってくれてもいいから!!」
そんなこと言って善逸君は自身のマフラーに顔を埋める。
善逸君の姿が愛らしくて、思わず笑みがこぼれた。
「ふふ、勿論! 楽しみ!」
「……!! Aちゃああん大好きいいい」
「私も」
善逸君と別れて、講義室へ向かう。
…もうクリスマスかあ。
そう言えばみんな浮き足立ってる気がしてたのは25日が迫ってるからか。
「おはよう、A」
「おはよう〜」
同じ学科の女の子とも友達になった。
最近は授業が被ってれば良く話す。
1人より、何も考えなくて済むから安心する。
「そういえば最近…女の子達静かだよね」
「あぁ宇髄君達の近くに居た? あの子達って彼氏いるらしいよ」
「えっ! そうだったんだ」
ふと気になってそんな事を聞いてみれば驚きの返答が返ってきた。
ちらっと後ろの方に居る宇髄君を見遣る。退屈そうにペンを走らせていた。
カタ、
「あ、すみませ…」
後ろの席に肘が当たったみたいで、物音がした。
小さく会釈をしてぱっと顔を見る。
「……おォ」
「……っ、」
実弥君が、私の後ろに座っていた。
慌てて顔を背けて見るが心臓が早鐘を打ち出す。
授業なんて集中できる筈も無く、後ろからの視線を紛らわせるのに必死だった。
「_じゃあね、Aちゃん」
「っうん、」
授業終わり、友達が先に出て1人残される。
後ろの彼も席を立たない。
意を決して立ち上がった時実弥君の机を揺らしてしまい、卓上からペンが転がり落ちた。
「ご、ごめん…!」
「いや…」
慌てて拾って彼へペンを渡す。
__その時私は確かに見たんだ。
彼の筆箱に付いていた、イルカのキーホルダーを。
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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時