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30:Horologium ページ31

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_実弥君の事で眠れなかった日はこれで2回目。
当然のように薄く張る目の下の隈。

 学校で待ち合わせした小芭内と会った時は怒られるどころかため息を吐かれた。





「お前の事だからどうせ何を言っても無駄だとは思ってたがな…。悩まされる位なら関係を断つ方がお前も楽だろう」

「可笑しいんだよ私…。こんなに悩んでるのに実弥君の事ちっとも嫌いになれないの。というかむしろ…」

「むしろ、な。あーやめろもう良いそれ以上聞きたくない朝から惚気話はごめんだ。勝手にしてくれお前の好きにしろ…」

「ちょ、ちょっと小芭内! こっちは真剣に…!」





頭を抱えて真っ青な顔した小芭内がそっぽを向く。
 こんな風じゃまた授業ギリギリだ、なんて私の話を切り上げてさっさと歩いていくから私も仕方なしについて行った。





「_Aちゃん?」





その時だ。

ふと側でAを呼ばれて立ち止まった。

辺りを見回すと、はっきりした金髪の男の子が私を真っ直ぐ見据えていて。

 そして次の瞬間、彼は私の方へ走ってきて飛び込む勢いで手を広げた。





「えっ__」

「気安くこいつに近づくな誰だお前は…!」

「Aちゃん、俺だよう! 我妻善逸!! 品川中学の時の!」

「いい加減体重を乗せるな」





抱きつかれるほんの手前、小芭内に強く肩を引き寄せられて難を逃れた。
が、知らない金髪の男の子の顔面を片手で握り潰している。





「品川中学って…私1年しか、」

「遠足で一緒だったでしょ! ほら、あのプラネタリウム、」

「……!」

「っ、オイA、」





その七文字が彼の口から飛び出た途端、私は小芭内を退かして金髪君の手を掴んでいた。
私の鬼気迫る様子に、彼も小芭内も目を丸くしている。





「ねぇもしかして…! 私の事、あの時助けてくれた男の子…!?」

「A、そんな偶然あるわけが…」

「――……っうん。そうだよ、俺がAちゃんを助けた。あの、プラネタリウムで」

「……〜〜!」





見た目がまるきり変わっていた。

気付ける筈が無かったんだ。ずっと追い求めていた偶像は面影をすっかり無くしていたから。


涙が出るほど嬉しい。だって私がずっと待ち焦がれていた…。





「私、ずっと貴方にお礼がしたくて…! あの時からずっと、貴方のことが……」

「…!」





――……その先が、言えない。

どうして? 私この人がずっと好きだったじゃん。


__どうして脳裏に、実弥君が出てくるの。





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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時

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