23:Gemini ページ24
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土曜日も過ぎ、約束の日曜日。
実弥君との待ち合わせ場所に10分前に着いたけどまだ彼は居なかった。
壁にもたれかかって携帯をいじる。
「変じゃない…よね」
携帯画面をミラー代わりに前髪を整える。
いつもより気合入れて髪も化粧も力を入れてしまった。
数分待ち始めた時、通りからバイクが抜けてきてこちらへ走ってくるのが見えた。
「_悪ィ、待たせたァ」
「……」
「……星奈ァ?」
「ッ、え、いや、全然待ってない…!」
「そうかァ? じゃ良かったわ」
フルフェイスを外して現れた銀髪。
いつも通りの実弥君なのに、それはいつも通りじゃ無いように輝いて見えて、ごくんと喉を鳴らした。
ぽいっと私にヘルメットを投げる実弥君。
それを被り直した彼は、私に、後ろに乗る様催促する。
「車持ってねェから、これで勘弁なァ」
「……ん」
「しっかり捕まってろよォ」
「…ッ、」
後ろに跨り恐る恐る裾を摘んだ私の手を掴んで、実弥君は自身の腰回りに持って行かせた。
自然と前のめりになって密着する体が妙にどきどきして……これはやばい、かもしれない。
バイクで二人乗りなんて初めてだったけど、頬に当たる風が心地良かった。
目的地に着いて、ふわふわした足を漸く地面につける。
「バイクってすごいね! 格好良い!」
「怖くなかったかァ?」
「全然! 実弥君に掴まってたから怖くなかった!」
「…ッそうかィ」
興奮気味に彼にヘルメットを渡すと当の本人は手の甲で顔を抑えつけて私から顔を背けていた。
…照れてる? いや、気のせいか。
飲み物を買ってくると言われたのでアクアリウムのゲート前で少し待つ。
「お姉さんすみません、自販機ってどこにあるか知ってます?」
「え? …えっと、…あ、あっちにあると思いますよ」
「ありがとうございますー」
不意に突然男性に話しかけられ肩を揺らす。
振り返ると同年代位の男の人が困った様に笑っていた。
実弥君が向かった方向と同じ方面へ指差したが、その男性はお礼を言ったものの向かう気配がない。
「今待ち合わせっすか?」
「え、あ…はい」
「彼氏と?」
「いや、そんな…! か、彼氏って…!」
何故かそのワードが無性に恥ずかしかった。
男性は携帯を取り出して「待ってる間ゲームでもしません?」なんて。
「星奈」
「……! 実弥君」
実弥君が帰ってきた。
何故か彼はすごく不機嫌そう。
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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時