9:Polaris ページ10
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授業も無事終わって講義室がざわざわと騒がしくなる。
…当然、私達の真後ろには女子の人気トップ2が並んで居るから、女の子達が飛ぶように集まる。
「天元〜今日一緒にランチしよ!」
「昨日ドタキャンした分遊んで〜」
「さねみん、ウトウトしてたでしょ?かわいい〜」
「実弥君いつデートしてくれんの?」
勿論小さい私と小芭内はすぐに退かされて蚊帳の外。
最初から入ってすら無かったけど。
……やっぱり、不死川君とは生きてる次元が違うみたい。
だってこんなに近くに居てもキラキラして直視できないんだもん。
「A。平気か?今押されただろう」
「あ、大丈夫…。気にしないで」
小芭内が私の肘を掴んで立ち上がらせてくれる。
こういう時は頼りになる。男らしい。
軽く流してる宇髄君と、うざったそうに女の子を睨む不死川君。
周りにいる女の子はみんなばっちり化粧して可愛い。
少し、ここに居るのが苦しくなってきた。
「ねぇ天元ったらぁ!」
「あーわかった分かった。んじゃ今日ここにいる奴らで飲み行こうぜ。な? それでいいだろ?」
「いいね! 行く行くー! 飲みたぁい」
「ええ〜二人っきりがよかったのに…」
鞄を肩にかけた時、真後ろから大きな声が私の耳を通り抜けて、女の子の歓声が上がった。
キン、と耳鳴りがしたので小芭内が嫌な顔をした。
二人で席を立ち上がると、後ろから凄く大きな手が私の手首を掴んで。
思わずひゅ、と息を吸う。
「なァ、Aちゃんも来るよな?」
「へっ…」
振り返ると期待を込めた目をした宇髄君が私を引き止めていた。
途端、周りにいた女子が不死川君側の人たちも合わせて私を睨むように見てきた。
こ、怖い! 何でそうなるわけ…!?
ていうか宇髄君は何で私の名前知ってるの…!?
その時宇髄君の手を離してくれたのは、不死川君だった。
「宇髄、離せェ。星奈が怖がってんだろうが」
「んァ? 悪ィ、んで、今日空いてる?」
「あ、えっと…今日は……」
不死川君が、助けてくれた。
呼び捨てされただけなのに、何だかドキドキする。
不死川君は私をじっと見つめて、私の答えを待ってるように見える。
「ご、ごめん、今日はバイトで…誘ってくれて、嬉しいんだけど」
「…そっかぁ、ごめんな引き止めて! 派手に頑張れよ」
「う、うん」
私の答えを聞いた時、何故か残念そうに、拗ねたように不死川君はそっぽを向いた。
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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時