15:Caelum ページ16
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秋色の風景のキャンパスを、前方で小芭内等が歩き、隣では実弥君が歩いている。
避けようって決めたばっかりなのに何でこんなに遭遇率が高いのかなあ。
「…なァ」
「な、なに…?」
すると突然実弥君に話しかけられ、おずおずと顔を上げる。
目の先にいる彼は少しだけ不機嫌そうな顔をしていた。
「…アイツと、付き合ってんの?」
「え?」
「伊黒。…カップルっつって…否定しなかったからよォ…」
「そ、そんな訳ないじゃん! 小芭内は好きな人居るし!」
「…本当かァ?」
カップルなんて言われたら小芭内に殺される。
慌てて訂正すると幾分か実弥君の表情は柔らかくなって、少し胸が跳ねてしまう。
「星奈ってよォ、彼氏いねェの?」
「い、いないよ! 居た事ないし…」
「…………そっかァ」
な、何なの…? 本当に訳わかんない。
私が彼氏居ないのがそんなに面白いか!
嬉しそうな顔して…! やっぱりこの人苦手!!
丁度小芭内が振り返って、余程私が困った顔してたのか、踵を返すと私の隣に並んでくれた。
「行くぞ、A」
「う、うん!」
「オイオイお前さん方、俺たちと次一緒だろ? 一緒に行こうぜ」
「お前らと一緒に居ると女が煩くてかなわん。俺とAに迷惑をかけるな」
「ごめんって伊黒。な、待てよ…」
ぐ、と伊黒に引っ張られて早足に実弥君達から離れていく。
宇髄君も実弥君も、私達の早足なんて追いつけるだろうに追いかけてはこなかった。
振り返った時見た実弥君の顔が何だか切なくて胸が締め付けられた。
……何これ病気?
「隣いいですか?」
「どうぞ」
「小芭内、ここにしよ」
人見知りの小芭内の代わりに私が席を取る。
必修授業だから人が多く、尚且つ宇髄君達と会ったから遅くなってしまったので四方に空いてる席は無かった。
「……お前」
「ん? 何?」
「…ハァ、何故あの男にあれだけの態度を取られて気付かないのかが不思議だな。一周まわって笑えてくる」
「な、何! 失礼だなー! もう。私が何に気付いてないって言うの? ていうか小芭内は何に気付いたわけ!」
「女を選び放題のアイツが執拗にお前を構う理由」
アイツ…って、実弥君の事だよね。
一体何の事、そう聞こうとして小芭内の袖を掴んだけど、その直後に宇髄君達が講義室に入ってきたのが見えたからそれを尋ねるのはできなくなった。
構う理由って……一体なんなの?
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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時