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1:Sirius ページ2

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「……っん…」





懐かしい思い出を夢で見た。
もう6年前になる。


プラネタリウム館で迷子になった私を救ってくれた、あの銀髪の男の子。
小学校の最後の遠足。忘れられない、真っ黒の瞳。



_その後、離婚した母についていったから私は転校する事になってしまった。





「……は! 遅刻!」





気付けば時刻は7時を過ぎていて、慌ててベッドから抜け出て支度をする。

今日もぎゅうぎゅうに混む電車に乗って大学前で何とか降りることが出来た。





「A。髪の毛跳ねてるぞ」

「あ、小芭内! 今日寝坊してさぁー」

「今日はバイトだろう。結ってやるから貸せ」





強制的にベンチに座らされて後ろからさらりと髪を掬われる。
_伊黒小芭内。大学で仲良くなった、同じ学部の友達。


私の髪を三つ編みにして恍惚とした表情を浮かべるこの男の瞳に、私は映っていない。





「……あのさ。有難いんだけど蜜璃さんと同じ髪型にして満足するのやめてくれない?」

「は? お前如きが甘露寺と同じ髪型で肩を並べられると思っているのか? ふざけるのも大概にしろ。甘露寺は唯一無二だ」

「あーはいはいありがとう」





小芭内は隣の美大に通う蜜璃さんって人に拗らせ片思いしてる。


その拗らせは常軌を逸してるので割愛しておく。





「1限何だっけ?」

「情報だ。……ッチ、目障りな輩がいる」

「目障り?」





マスク越しでも分かる小芭内の嫌な顔。
その視線を辿ると大勢の女子が二人の男の人に群がっていた。


とりわけ大きな白髪の男の人二人。
遠目でも分かる、そのキラキラした雰囲気。





「……二人とも…お星様みたい…」

「またお前はメルヘンチックな事を言って…。ハァ、いいかA。お前は初恋の男を探しているのかもしれんが大学生になってそんな事ばかり言ってると本当にいつまで経っても恋人が出来んぞ。さっさとその脳内の花畑を刈れ」

「酷い! だって忘れらんないんだもん。しょうがないでしょ! 小芭内だって蜜璃さんの事になるとポンコツになる癖に!」

「誰がポンコツだ呪うぞ」





――その時、不意に感じた視線。


小芭内に髪の毛を掴まれたまま視線を探れば、何人もの女の子に囲まれた、あの星色の髪をした男の人と目が合ったんだ。





「――……!」





その真っ黒な瞳は、まるで私を包み込むブラックホールのよう。





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おそらまめ(プロフ) - kさん» k様、過去作品にもいくつか触れて頂いているようで、とても嬉しいです。天才だなんて恐れ多いお言葉です……でも嬉しいです。k様が読みたくなるような作品を今後も作っていければと思っております。ありがとうございます(^^) (6月16日 2時) (レス) id: bb8d3426f9 (このIDを非表示/違反報告)
k - まさかこの作品がおそらまめさんだったなんて、、、この作品もすごい素敵です!!!!おそらまめさんは天才ですか?? (6月15日 22時) (レス) @page50 id: 5d2f3eba17 (このIDを非表示/違反報告)
yukino(プロフ) - この作品もとても面白いです!!!! 実弥さん最高です!! こんな面白い作品を書けるなんて尊敬します!! (2022年1月17日 19時) (レス) id: b465ac1425 (このIDを非表示/違反報告)
おそらまめ(プロフ) - 美桜さん» 美桜様、ありがとうございます(^^)もう作者の実弥シリーズの作品だけでそれこそ短編集出せそうですよね(笑)そんな…嬉しい事を言って下さって…。懐かしいキャンパスライフの日々、思い出しますね…! (2020年11月27日 9時) (レス) id: 77433e9bba (このIDを非表示/違反報告)
美桜(プロフ) - ううう、こちらも名作!本出してください!即買します!何回も読み返して、キャンパスライフを思い出してます(^-^) (2020年11月26日 12時) (レス) id: a2ac9ececf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おそらまめ | 作成日時:2020年3月27日 0時

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