其ノ伍拾漆 ページ14
Noside
夜叉白雪が、渾身の力で斬りつけているが──
それを受けている敦の左腕は、なんと虎化している。
刃を全く受け付けない、刃よりなお強靭な獣化した異能力の腕。
それに、敦自身が驚いている。
「(これは……!?)」
夜叉白雪の刃を折り、その間合いを詰めたと同時に敦の虎の左腕の爪は、鏡花の喉に鋭く突きつけられた。
「終わりだ。」
「…………」
「この能力を止めて爆弾の場所を教えろ。」
「私の名は鏡花。35人殺した。
一番最後に殺したのは三人家族。
父親と母親と男の子。
夜叉白雪が首を掻き切った。」
鏡花は、自分の着物の胸元をはだける。
「……何てことだ。」
その胸には爆弾が装着されていた。
「君は……何者なんだ?
言葉からも君自身からも、何の感情も感じない
……まるで殺人
望みがあるなら言葉にしたきゃ駄目だ……
こんな事が本当に君のしたいことなのか!?」
「…………」
その時、雑音混じりに車内アナウンスが聞こえる。
[こちら車掌室。敦、まだ生きてッかい?]
「与謝野さん!」
[こっちのヘボ爆弾魔によると、そっちの爆薬は遠隔点火式だ!
間違った手段で解除すると数秒でドカン!そうだな?]
[ふぁい……ほうれふ……]
[解除には非常時用の停止釦しかない!
そっちのマフィアが持ってる筈だよ!]
「君が……持ってるのか?」
敦は鏡花に手を差し出す。
「渡して……」
「…………」
鏡花は、敦の差し出す手に、キャラメル箱サイズのリモコン装置を渡す。
「…………」
敦は、リモコンの停止ボタンを押す。
それと同時に──
鏡花の胸に装着された爆弾の起動ランプが小さな電子音と共に灯る。
[……それ押したのか、鏡花。]
「!?」
[解除など不要。乗客を道連れにし、マフィアへの畏怖を俗衆に示せ。]
「なっ……ッ
(数秒で爆発……!?)
爆弾を外せ!」
「間に合わない。」
「!?」
鏡花は敦を思い切り突き飛ばす。
「(その細い腕に押された時──僕は漸く気が付いた。
彼女の能力は、何時も携帯からの声で動いていて、
一度だって彼女の為に動いていない。
どうして気付いてあげられなかったんだ……
彼女は自分の異能力を自分で操れないんだ!)」
「私は鏡花。35人殺した。
もうこれ以上、一人だって殺したくない!」
粉砕されて開いている列車のドアから、外へ身を投げる鏡花。
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舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います!そう云って頂けると私も頑張れます!これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です!! ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います!楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです!忙しいと思いますが更新頑張ってください!続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年6月1日 8時