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其ノ漆拾伍 ページ32

Noside

樋口は、トイレを後にして廊下を進む。

その時、

「くしゅんっ!……風邪でもひいたかな?」

前から歩いてくるAの姿が目に入った。

「A……さん。」

「あぁ、樋口ちゃん。ねぇ、私の……如何したの?」

Aは何かを云いかけたが、樋口の様子を見てやめた。

「Aさんは……
芥川先輩が深手を負うと判っていたんですか?」

「……まぁね。」

「それなら──」

「如何して自分で助けなかったのか……」

「!」

「そう聞きたいんでしょ?」

「…………」

「それより、他に考えるべき事があるんじゃない?
首領や、黒蜥蜴にも云われたと思うけど。」

「誤魔化す気ですか!」

「誤魔化す心算なんて無いよ。
ただ、優先順位を考えなって云ってるの。
それと……人に答えを求める前に、一度自分で考えな。
聞いてばっかりでいると、いざって時に自分で判断出来なくなるよ。」

「っ!」

「私、何か間違った事云ってる?」

「…………いえ。」

「納得いかないって顔だね。
まぁ、気持ちが判らない訳でも無い。
だから、殴りたければ殴れば良いし、罵倒したければすれば良いよ。
ただ、その感情の矛先が何処に向いてるか、良く考えな。
私に向けるべきものなのか、それとも他の誰かに向けるべきものなのか……」

「…………」

「それじゃあ。」

Aは、そのまま廊下を進み、樋口とすれ違った。

樋口は、自身の拳を握り締めたまま、暫くその場に立ち尽くしていた。


その夜、何者かが芥川を拐っていった。


「……扶けに行かないのか?」

「うん、行かない。」

そんな中、Aは涙香とお茶会をしていた。

「何故だ?」

「こうでもしないと樋口ちゃん、皆から認めてもらえないから。」

「……如何云う意味だ?」

「そのままの意味だよ。
彼女の為に今回、私は身を引く。」

「Aは、優しいんだな。」

「……優しくなんか無い。
優しい人間はあの時、自分に構わず彼を助ける。
私には……それが出来なかった。」

「何の事だか、俺には判らないが……
Aは、優しいと思うぞ?
俺は、俺が好きな優しいAを、Aにも肯定して好きになってほしい。
それは、叶わないのだろうか?」

「…………まだ暫くは叶わないだろうね。
でも、そう云ってくれる涙くんが傍に居るから……
自分を肯定出来るように……
好きになれるよう頑張るってみるよ。
有難うね、涙くん。」

穏やかな表情を浮かべながら、Aは、涙香の頭を撫でた。

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舞花 ひめ(プロフ) - るぅとさん» 有難う御座います!そう云って頂けると私も頑張れます!これからも応援、宜しくお願い致します。 (2019年8月22日 7時) (レス) id: 6d7eb9b273 (このIDを非表示/違反報告)
るぅと(プロフ) - 更新お疲れ様です!! ご自分のペースでいいので頑張ってくださいっ (2019年8月18日 22時) (レス) id: 4ba8ceef5d (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - いずなさん» 有難う御座います!楽しみにして下さってる皆様の為にも、引き続き頑張って行きますので、これからも宜しく御願い致します。 (2019年7月8日 6時) (レス) id: 052a536090 (このIDを非表示/違反報告)
いずな - この物語面白いです!忙しいと思いますが更新頑張ってください!続き楽しみに待っています (2019年7月6日 2時) (レス) id: f5ee51c946 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!更新頻度が落ちないよう努力していくので、これからも応援、宜しく御願い致します。 (2019年6月1日 18時) (レス) id: 90e19b9523 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年6月1日 8時

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