其ノ参拾捌 ページ40
Aside
あの後、直ぐに龍くんと落ち合い、行くあてもなく歩き始める。
「お互い、可愛い部下がいて幸せ者だねぇ。」
涙くんのことを思い出して、そう切り出す。
涙くん、寂しそうだったな……
「少し、可哀想だったかな。」
「元々は、尾行していた向こうが悪い。」
「そうだけどさ〜」
涙くんを追い返したのは、万が一涙くんへの贈答品が露見しないようにするためだったけど……
樋口ちゃんは、完全にとばっちりだよねぇ。
「……と云う訳で、龍くん。
樋口ちゃんに贈答品を買おう。」
「如何云う訳だ?」
「いいから、いいから!あ、渡すのは龍くんだよ?
私は、涙くんに贈答品を渡さなくちゃいけないから。」
私の突然の提案にも龍くんは、ため息をつきながら頷いてくれた。
樋口ちゃんへの贈答品は想定してなかったから、何をあげるか色々悩んだけど、龍くんと相談して鞄をあげることにした。
あの子、龍くんがあげるなら何でも喜ぶだろうから、あんまり悩む必要なかったかなぁ……と、決まった後に思った。
鞄を取り扱っているポートマフィア傘下の店を転々とし、買ったのは女性用の黒いビジネスバッグ。
店から出た頃には、日が傾きはじめていた。
「そろそろ、帰ろうか。」
「そうだな。」
「今日は、付き合ってくれて有難う。
楽しかったし、嬉しかった。」
「…………そうか。」
「うん。」
却説、龍くんへの贈答品は何時渡そうか……
そんな事を考えていた時、一台の車とすれ違う。
道路交通法違反ギリギリの車……
私は、
そんな私を龍くんが奇怪なものでも見るような目で見てくる。
「如何した?」
「思い出し笑いだよ。
今日の朝刊、龍くんにも見せてあげる。」
「朝刊?」
其の言葉を合図にしたかのように、響く車のブレーキ音。
次々と連鎖していく其の音は、
見ると、先程の車が車道を塞ぐようにして停車していた。
「あの車は何をしているのだ?」
五月蝿く鳴り響くクラクション音に顔を歪ませながら、龍くんが不快そうに云う。
「電話……人助けか。」
「?……何か云ったか?」
「ううん、何でも無い。
さっ、早く帰ろう。涙くんたちが待ってる。」
私は、龍くんの背中を押しながら振り返える。
遠ざかっていく
《偽善者が》
と悪態をついた。
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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時