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其ノ拾伍 ページ16

Aside

上品なベルの音が響き、私に最上階到達を伝える。

派手すぎない豪華な扉がゆっくりと開く。

それと同時に、黒服二人が一斉に昇降機に銃口を向ける。

だが、それを事前に判っていた私は、影と同化し、首領室に侵入した。

「首領〜?何の用ですか?寝たいんですけど……」

予想に反し、確りと席についていた首領に感心しながら、適当に椅子に座り、机に突っ伏した。

「夏樹くん?此処、首領室なのだけれど……」

「?……知ってますよ?」

「私、君のことを首領として呼び出したのだけれど……」

「ええ、知ってます。」

「あとさ、先刻失礼なこと考えてなかった?」

「はい。
今日は、エリス嬢を追い掛けてないんだな〜
って感心してました。」

「君ね……」

首領が何か云いかけた時、大きなノックの音がする。

「首領!昇降機がこの階に来たのですが、人が誰も……」

漸く混乱の収まった黒服が首領室に入ろうとするが、

「嗚呼、大丈夫。私が呼んだ子だから。」

それを首領が制す。

「ごめんなさ〜い!」

戸惑っている黒服に蟻んこ程度の罪悪感を感じて、少し大きな声を出して謝罪する。

「は、はあ……」

黒服の戸惑った空気が扉越しに私に伝わる。

「それで?私を態々呼び出して、何の用ですか?」

「君、私が上司だって自覚ある?」

「ありますよ、一応ね。」

「一応か……」

「首領〜!早く云って下さいよ〜!
私、待ちくたびれちゃったんですけど?」

「……もう、いいや。」

よし、諦められた!

「君を呼んだのは、人虎捕獲について聞きたかったのと、仕事を任せたくてね。」

「人虎の件の報告は、龍く……芥川に聞いて下さい。
私は、作戦立案をしただけです。」

「……次の作戦は、如何するんだい?」

「まだ、芥川に頼まれてませんからね〜
ま、幾通りかは考えてますよ。」

「流石……首領補佐だね。」

「それで、仕事って何ですか?
書類作業みたいな詰まんない仕事は厭ですよ。」

「安心するといい。君の大好きな殺戮だから。」

殺戮……

それを聞いて、自然と口角が上がる。

「何時も有難う御座います、首領。」

「相変わらず、悪い顔をするね……君は。」

「そうですか?
でも、ポートマフィア的には最適解……ですよね?」

「はははっ。そうだね。そこにあるのが、仕事の資料だ。
……宜しく頼んだよ。」

其の言葉に、

「首領の御命令とあらば。」

挑発的な笑みを浮かべ、首領室を後にした。

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舞花 ひめ(プロフ) - 櫻色華伝さん» コメント有難う御座います!涙香くん、可愛いですよね!私もデレデレしながら書いてます(( これからも頑張って更新させて頂くので、これからも宜しくお願い致します。 (2020年1月8日 10時) (レス) id: 56c3681e86 (このIDを非表示/違反報告)
櫻色華伝(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!夢主(私は累-かさね-ちゃんとしてます)LOVEの涙香くん可愛すぎる!応援してます。更新頑張ってください! (2020年1月7日 15時) (レス) id: bb11e6ace8 (このIDを非表示/違反報告)
舞花 ひめ(プロフ) - ▼とあるヰ琉兎さん» 有難う御座います!頑張って更新させて頂くので、楽しんで頂ければ幸いです!▼とあるヰ琉兎さんも、頑張って下さい!応援してます! (2019年4月3日 22時) (レス) id: 95f7a369ce (このIDを非表示/違反報告)
▼とあるヰ琉兎(プロフ) - 首領の意味深な発言や芥川との関係が良かったです!!この先どう進んでいくか気になります。更新楽しみにしてます!!これからも、応援してます(´ω`*) (2019年4月3日 21時) (レス) id: ff0f774975 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞花 ひめ | 作成日時:2019年3月1日 7時

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