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こうしてまた本屋に来てしまったのは、単に話の繋がりが分からずもやもやするからなのか、漫画に引き込まれてしまった結果なのか。

それを測りかねているAは、手に取るのをためらってひたすら背表紙を眺めていた。


「おや。君は康一くんの友達の」
「…!?」
「確か……Aくんといったね」


その漫画家の声がすぐ後ろから聞こえたので、Aは飛び上がって驚いた。


Aの後ろでゆらりと空気が揺らいだのを、彼は気付いただろうか。

店の中で騒ぎを起こすわけにはいかないと、すんでのところでスタンドを押し込めることには成功したが、果たしてそれで良かったのか分からない。


「何を、してるんですか」
「漫画家が書店にいたらまずいのかい?自分の作品が読者に届く場所なんだぞ。まあ今日はいい資料がないか立ち寄っただけだが。そういう君は、僕の漫画を睨みながら何をしてるんだ」


そんなAの焦りを知ってか知らずか、露伴は平然と会話を始めてきた。
スタンド同士の戦闘になりかけたことを忘れたようにけろりとしている。ヘブンズ・ドアーを使おうとする様子もない。

驚きのあまり、Aもつい冷静になった。


「睨んでたんじゃあなくて、迷っていたんです。この前これを買ってみたんですけど、順番に読んだら見方も変わるのかと思って」
「おいおい、君にはここのナンバリングが見えなかったのかい?」
「…漫画を買うのは初めてだったんです。だから、一番目立ってたのをパッて取っちゃって」
「初めて…?初めてだって?…っはは、そうか、そうかい!いや、後悔することはないさ。週刊誌を手に取る人間が、必ずしも僕の作品を最初から読んでいるわけじゃあないからな。そういった読者を取り込める漫画こそ、真に魅力的な作品だとは思わないかい?君はその一例だよ。この岸辺露伴の漫画を、実に素直に受け取っているということだ」


そう言いながら、まんまと罠にかかった狸を見る猟師のような顔で見てくるので、Aは一つ前の番号が振られた単行本を取ってそそくさとレジへ向かった。

いっそのこと最初から読んでみようかと思っていたことは、なんだか癪だったので言わないし実行しない。


Aとしては、ぷいと顔を逸らした時点で関わりを絶ったつもりでいたのだが。
何故か露伴は、本屋を出たAに着いてくる。

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こうもり - あげなすびさん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2022年9月14日 7時) (レス) id: 9309100d6a (このIDを非表示/違反報告)
あげなすび(プロフ) - 面白いですっ...!!これからも応援します! (2022年9月14日 0時) (レス) @page3 id: a4623d5dd3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こうもり | 作成日時:2022年9月3日 22時

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