No.7 ページ8
ふと目を覚ますと、
見慣れた小汚い天井が視界に入ってきた。
キョロキョロと辺りを見回せば、
無表情で流星がスマホを弄っている。
青「おはようさん」
「夢、見てたわ」
青「なんの夢？例の"とも"？」
「黙れ、ちゃうわ。照史くんと初めて会った時のこと」
青「ああ、ファミレスでハンバーグ食べた話？」
端的にまとめられて腑に落ちない部分もあるが、
確かにそれで完結してしまうくらいに
あっさりとした始まりだった。
実は西龍という暴走族の総長であることを
照史くんから聞かされ、
色んな面で強くなれるからと
チームに加入するまでほんの数日。
それで人生が180°変わってしまうんやから、
ほんま何が起こるか分からない。
ともを守りたい。
あの日みたいな後悔は二度と起こさない。
それは変わらない俺の信念で、
もうすぐ勇退して本格的に実家の方で
働き出す照史くんと約束したこと。
芯となる一本があれば誰だって強くなれると、
あの日照史くんが教えてくれなかったら、
今も四角い画面の中だけが俺の居場所だった。
「ファミレスでハンバーグ、食べさせられた話や」
ニヤリと笑ってそう返せば、
流星が顔を歪めて嫌そうに呟く。
青「しげのそういう顔、
ほんま照史くんにそっくりや」
「それは心外やなぁ」
橙「だーれが心外やってぇ？」
いつの間にか背後に現れた照史くんが
俺の頭をグリグリと締め付ける。
手加減を知らない馬鹿力は痛いが、
その痛みにさえももう慣れてしまった。
西龍の総長である照史くんと
過ごせる時間はそんなに長くない。
「次はしげの番やで」と口酸っぱく言われ、
その意味も分かっていた。
ただ単に総長の座を譲り受けるだけでないことも、
総長になる前に片付けることがあることも。
守れるように強くなった。
だからもう逃げない。
自分からも、ともからも、あの日からも。
橙「しげ、今日学校行くんやろ？」
「…おう」
橙「なんちゅう顔してんねん！
お前は何のためにここに来て、
何のためにここにおんねん」
「分かってるよ、そんなこと」
橙「ほんなら胸張って行ってこい！」
紅葉型でもつきそうなほどの力で押された背中は自然にしゃんと伸び、戸惑っていた足を進めてくれた。
相変わらずスマホを弄ったままのんびりと歩き出す流星とともに、俺はとものいる高校を見据えて、溜まり場の扉を開けた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・
本編だとNo.31に繋がります
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ハチミツ(プロフ) - かこさん» ご感想ありがとうございます。返信が遅くなってしまい、申し訳ありません…。そう言っていただけると、書くモチベに繋がります！低浮上ですが、今後もよろしくお願いします！ (2021年6月10日 8時) (
レス) id: 35042e2505 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - お久しぶりです（ ; ; ）この作品大好きなので更新再開してくださって本当に嬉しいです！ありがとうございます（ ; ; ） (2021年3月3日 15時) (レス) id: 6e72dd3f11 (このIDを非表示/違反報告)
かこ(プロフ) - 続き楽しみに待ってます！！！！！ (2020年2月25日 23時) (レス) id: e4df3d7976 (このIDを非表示/違反報告)
( ^ω^ ) - stand by me めちゃめちゃ好きです！番外編がみれてとても嬉しいです！楽しみにしてますね！ (2018年9月21日 14時) (レス) id: 24ab54fcbd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハチミツ
| 作成日時：2018年9月21日 2時
