〜古池に飛び込むかわず〜4 ページ10
「ルココ殿ッ」
瞬間、ドロロの合図で二人の跳ぶ方向が変わる。
強靭でありながらも静寂に突き抜ける鋭利な声だった。
二人は模倣キルルに手を出さずに、素早く北に移動を始める。
ーーペコポン人が来た。
アンチバリアを張っていると言えど、好奇心旺盛なペコポン人には効果が薄れる。
それに、ここで模倣キルルの数を減らし陣形を変えられてしまっても困るのだ。
なるべくペコポン人に被害を及ばせないように一時撤退するしかない。
退却も又、戦術なり。
ドロロもルココも無傷ではあるが、如何せん、戦局が悪い。
また、工場を少し抜けた所にある空き地ならルココの得意な砲や銃が使えるし、ドロロだって暗殺兵術を使う事が出来る。
ところが。
模倣キルルはその場から離れなかった。
攻撃もしてこないし、かと言ってこちらに近付こうともしない。
あくまでフィールドは工場に留めるつもりなのだ。
そこから敵が撤退すれば追うつもりはないのだろう。
白兵戦の継続に不満はないが、何より最悪なのはペコポン人に見つかる事だ。
ペコポン人が来た事から、勤務時間の開始が近い事が伺える。
早くかたをつけねばならない。
「ドロロさん。考えがあるんですが……」
ルココがドロロに耳打ちをした。
ドロロが目を伏せて、それから明哲にルココを見た。
「御身が危険ではござらぬか」
「でも、これなら直ぐに終わらせられます」
西の空の色は朝の空へと近付いている。
時間はない。
逆光で白むルココをドロロはじっと見つめる。
黄の眼に揺るぎない信念がある。
「どちらにせよ……片付けなければなりません」
「……承知っ」
ドロロの姿が一瞬にして消えた。
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クローン(プロフ) - Say akaさん» 有難うございます。番外編やら続編やらは後々ひっくるめてお話しようと思っておりますので、今暫くお待ち頂けると有難いです。 (2015年5月3日 16時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
Say aka(プロフ) - この小説凄くいいです!!これからも更新頑張ってください(^ー^)ノあと、番外編とか作りませんか? (2015年5月2日 13時) (レス) id: f86aeafa04 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 清河清明さん» 紹介されるような物である事に恐縮です。書き方とかはようやく整って来たので何とも言えませんが、そこが仇になる事もあるので良かったです。コメント有難うございました…! (2015年3月26日 12時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
清河清明(プロフ) - こんにちは。友人の紹介で読んでみたら予想以上に面白く、通信規制の一歩手前までいってました(笑)台本小説でもなくスーパー完璧少女でもない彼女の生き様に久々に胸熱でした (2015年3月24日 18時) (レス) id: 07f2a719b6 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 名無しさん» おわわわ…! こちらこそコメント有難うこざいます。この作品に世界観なる物が作れていたようで光栄です! (2015年3月1日 7時) (レス) id: d9f1c78e75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クローン | 作者ホームページ:ホームページはありません。
作成日時:2015年1月11日 8時