〜過去にすれ違った悪魔〜3 ページ41
まず、訓練所の生徒会長に立候補した奴が既に侵食されていた。
生徒会長はあのデモの二番手、水色の体躯の男である。
表立って行動を起こしていたのは水色の男だが、こいつの行動が何故多大な影響を及ぼしたのかというと、理由は一つだった。
水色の男が、あのデモの先陣、黒い男に侵食されていたからだ。
黒い男が裏で水色の男を動かしていたのだ。
それもそうだ、デモで水色の男は側近の如く黒い男にくっ付いていたではないか。
そしてその事をどこかで知った一人の生徒が友人にそれを話し、その友人が次の友人に、更に又……といった具合で、噂は次々に流れて行ったのだ。
水色の男の後ろには黒い男がいる。
これを知った訓練生は生徒会長に抗う事はほぼ不可能だ。
黒い男というのは、尻尾付きながらも、実力、実績共に申し分のない、人徳のある期待の新人であった。
彼が権力で抑えずとも、彼を慕う者は数多く、自ずと彼の子分になりたがる者は数知れず。
そのため、反対派がいても少数で、それは賛成派の意見に流されてしまうのだ。
生徒会長が全校集会を開く度に、規則は塗り替えられて行く。
生徒の意見に耳を傾け、全校集会で多数決を取り、決定に従い即座に行動する。
そんな堂々としていてまさに学園モノの漫画の様なスタイルが訓練生達の心を鷲掴み、訓練生達は一致団結したのだ。
生徒という最大の力を得た水色の男……つまり黒い男は、規則にのっとり次々と訓練所を変えて行った。
何一つ無理矢理に意見を通す事はせず、あくまで訓練所の規則に沿っているため、教官達も上手く手が出せないのだ。
最終的にどうなったのかは分からない。
話は最後まで聞いた筈なのだが、あまり思い出したくない様な気もするのだ。
ただ、彼らは少なくともケロン軍にやって来る。
ルココは最後に二人の名前を記憶に留めておく事にした。
水色の男の名はタルル、そして、黒い男の名はタママと言った。
タママが全ての権限を握っていたのだ。
デモで、尻尾付きながらもあれ程の人数を率いて行進して来た時に、気付くべき事だったのかもしれない。
そしてその男が、今、ケロロ小隊に配属された事実の根底は、過去にある。
あんなにもケロロを慕い、にこにこと可愛らしく振る舞う彼の笑み。
その笑みはかつては悪魔と言えたのではないのだろうかーー
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クローン(プロフ) - Say akaさん» 有難うございます。番外編やら続編やらは後々ひっくるめてお話しようと思っておりますので、今暫くお待ち頂けると有難いです。 (2015年5月3日 16時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
Say aka(プロフ) - この小説凄くいいです!!これからも更新頑張ってください(^ー^)ノあと、番外編とか作りませんか? (2015年5月2日 13時) (レス) id: f86aeafa04 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 清河清明さん» 紹介されるような物である事に恐縮です。書き方とかはようやく整って来たので何とも言えませんが、そこが仇になる事もあるので良かったです。コメント有難うございました…! (2015年3月26日 12時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
清河清明(プロフ) - こんにちは。友人の紹介で読んでみたら予想以上に面白く、通信規制の一歩手前までいってました(笑)台本小説でもなくスーパー完璧少女でもない彼女の生き様に久々に胸熱でした (2015年3月24日 18時) (レス) id: 07f2a719b6 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 名無しさん» おわわわ…! こちらこそコメント有難うこざいます。この作品に世界観なる物が作れていたようで光栄です! (2015年3月1日 7時) (レス) id: d9f1c78e75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クローン | 作者ホームページ:ホームページはありません。
作成日時:2015年1月11日 8時