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〜我ら若手兵〜9 ページ33

「タママさん、タママさん」


その不安が今にも理性を抉ってしまいそうで、気を紛らわそうとルココは隣で横たわるタママに手を伸ばす。


彼女は必死だった。


苦しさも快さもないタママの表情が恐ろしかった。


タママが目覚めなかったらどうしようと、ひたすら不安に駆られ、ひたすらタママを揺さぶった。


「う、ん……」


どれ程彼の声を聞きたいと願った事か。


ようやくタママは目を覚ました。


いつもの黒曜石の様な瞳はぼんやりとしていて、微睡んでいるようである。


ルココと同じように夢を見ていたのだろう。


「ここ、どこなんですかぁ……。不気味なまでに真っ白ですぅ」


タママがぺたんと座って周囲を見渡している、ルココも同じ事をした。


「タママさん、無線通じますか?」


「あ、そっか、クルル曹長に連絡すれば……!」


タママは僅かながらの希望を感じて嬉しそうに通信機を繋げようとする。


そんな素直なタママの表情に、ルココは胸の痛みを覚えた。


多分、繋がらない。


だって、クルルハンドメイドのスコープでさえ通じなかったのだから。


ほぼパーセンテージがゼロだと分かっていつつも、タママに持ち掛けたのだ。


もしもがあると信じて、藁にもすがる思いで。


「繋がらないですぅ……。どうしよ、ルココせんぱ、い」


武器も通信も通じない、このまま我が身がどうなるのか分からない。


何も分からない中で、死という概念がぼんやりと見えるのだ。


それはルココだけではなくタママもだ。


軍人だからとて、死への恐怖がない訳ではないのだ。


飲み込まれる直前に危険を察知して飛び付いたタママを巻き込んでしまった。


ルココは年下の若手兵への申し訳なさで一杯だった。

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設定タグ:ケロロ軍曹 , ケロロ小隊 , 軍旗   
作品ジャンル:アニメ
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クローン(プロフ) - Say akaさん» 有難うございます。番外編やら続編やらは後々ひっくるめてお話しようと思っておりますので、今暫くお待ち頂けると有難いです。 (2015年5月3日 16時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
Say aka(プロフ) - この小説凄くいいです!!これからも更新頑張ってください(^ー^)ノあと、番外編とか作りませんか? (2015年5月2日 13時) (レス) id: f86aeafa04 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 清河清明さん» 紹介されるような物である事に恐縮です。書き方とかはようやく整って来たので何とも言えませんが、そこが仇になる事もあるので良かったです。コメント有難うございました…! (2015年3月26日 12時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
清河清明(プロフ) - こんにちは。友人の紹介で読んでみたら予想以上に面白く、通信規制の一歩手前までいってました(笑)台本小説でもなくスーパー完璧少女でもない彼女の生き様に久々に胸熱でした (2015年3月24日 18時) (レス) id: 07f2a719b6 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 名無しさん» おわわわ…! こちらこそコメント有難うこざいます。この作品に世界観なる物が作れていたようで光栄です! (2015年3月1日 7時) (レス) id: d9f1c78e75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クローン | 作者ホームページ:ホームページはありません。  
作成日時:2015年1月11日 8時

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