〜番外編*乙女の聖戦〜2 ページ22
甘ったるい匂いが厨房に漂う中、ルココは呆然としていた。
渡す相手などいないルココがここにいる理由、それは夏美に半ば無理矢理に連れて来られたからだ。
夕方頃に家を出ようとした夏美にケロロがデリカシーもなく何処へ行くのかと尋ねた所、バレンタインデーの事を知っているルココが丁度居合わせた。
茶を濁す夏美の代わりに自分が説明しようとしたルココが夏美に口を塞がれ、そのままズルズルと西澤家まで連れて来られた。
そしてケロン人と言えど性別は乙女であるルココは西澤家厨房に意味もなく立たされているという訳だ。
どうしてワタクシが……、なんて考えているルココに夏美が話し掛けた。
「ルココちゃん、ホンットごめんね! でもでも、今回だけは許して! ボケガエルに見つかる訳にはいかないんだから」
平謝りする夏美にルココはうんともすんとも言えず。
「ルココさんは好きな方、いらっしゃらないんですか?」
「えッ」
デコレーションの菓子を抱えたモアがルココに尋ねた。
ギロロ程ではないが、それなりに軍人一筋で生きてきたルココにとっては珍しい質問だった。
今まで聞いた事もなければ、聞かれた事もない。
「えっ、何々、ルココちゃんの好きな人⁉︎ 知りたいっ」
手を止めた夏美が顔を輝かせた。
吃るルココに乙女四人の好奇な瞳が向けられる。
「え、あっ。い……いま、せん」
問い詰められて急に恥ずかしくなったルココはしどろもどろに答えた。
本当に好きな人などおらず、やましい事など何もないのだが、とにかく恥ずかしい。
こんなこっぱずかしい状況は初めてでルココはすっかり俯いてしまった。
「やっぱ、軍とかずっといると気にしないのかなぁ」
夏美が残念そうに言うと、すかさず小雪がフォローする。
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クローン(プロフ) - Say akaさん» 有難うございます。番外編やら続編やらは後々ひっくるめてお話しようと思っておりますので、今暫くお待ち頂けると有難いです。 (2015年5月3日 16時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
Say aka(プロフ) - この小説凄くいいです!!これからも更新頑張ってください(^ー^)ノあと、番外編とか作りませんか? (2015年5月2日 13時) (レス) id: f86aeafa04 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 清河清明さん» 紹介されるような物である事に恐縮です。書き方とかはようやく整って来たので何とも言えませんが、そこが仇になる事もあるので良かったです。コメント有難うございました…! (2015年3月26日 12時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
清河清明(プロフ) - こんにちは。友人の紹介で読んでみたら予想以上に面白く、通信規制の一歩手前までいってました(笑)台本小説でもなくスーパー完璧少女でもない彼女の生き様に久々に胸熱でした (2015年3月24日 18時) (レス) id: 07f2a719b6 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 名無しさん» おわわわ…! こちらこそコメント有難うこざいます。この作品に世界観なる物が作れていたようで光栄です! (2015年3月1日 7時) (レス) id: d9f1c78e75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クローン | 作者ホームページ:ホームページはありません。
作成日時:2015年1月11日 8時