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〜古池に飛び込むかわず〜7 ページ13

「ドロロさんはペコポン、が……好き、なんですか」


非情だった暗殺兵はその自然に惚れたのだろうか。


「最もでござるな。拙者、この自然に魅入られたのでござろう」


ドロロは空色の瞳を伏せて地球の鼓動を聴き入る。


そこに、かつて特殊精鋭部隊に従じた男の面影はなく、温暖で平和主義な自然好きの男にしか見えない。


けれど現在も戦闘時になればアサシンとしての能力は解放するのだ。


ステルス能力。


アサシンに最も必要な能力。


それは未だに彼を解放しない。


「ドロロさんは」


「それは、ゼロロでござる」


えっ……ルココは声を上げそうになったが、ドロロの穏やかさの裏に隠された冷たさがそれを許さなかった。


ゼロロ暗殺二等兵。


無論彼にも二等兵の時代がある。


ドロロと名乗ってからの時間よりもゼロロであった時間の方が長い。


名を変えた青い男はゼロロを捨てたのだろうか。


人生の大半を捨てたのだろうか。


暗殺兵ゼロロと忍者ドロロ、地球で出会ったアサシンの極意に彼は何を感じたのだろうか。


戦場や社会の裏を駆け巡る影。


暗殺兵も忍者もそういった役割を担っている。


地球に寝返り一度過去を捨てて己を変えた男。


だが、何が変わったのというのだ。


天性の无の能力に、払拭される事のない事実。


幾人の記憶を消せども事実の根絶などあり得る筈はない。


彼は誤りを知っている。


それでも尚、アサシンの極意が残る忍者を選んだ。


道を極めたからにして彼は道の誤謬に気付いた。


ルココはふとクルルの言葉を思い出した。


一度切り拓いた道を消す事なんて出来ない。


軍の暗部を知るであろう影の者にルココは気の毒だと思ったがそれは不適だと訂正する。


これがドロロの運命なのだ。


悲運の強者に同情など甚だの誹謗である。


同様にドロロも又ルココに同情する事はないのだ。

〜万有引力は夢を見る〜1→←〜古池に飛び込むかわず〜6



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設定タグ:ケロロ軍曹 , ケロロ小隊 , 軍旗   
作品ジャンル:アニメ
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クローン(プロフ) - Say akaさん» 有難うございます。番外編やら続編やらは後々ひっくるめてお話しようと思っておりますので、今暫くお待ち頂けると有難いです。 (2015年5月3日 16時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
Say aka(プロフ) - この小説凄くいいです!!これからも更新頑張ってください(^ー^)ノあと、番外編とか作りませんか? (2015年5月2日 13時) (レス) id: f86aeafa04 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 清河清明さん» 紹介されるような物である事に恐縮です。書き方とかはようやく整って来たので何とも言えませんが、そこが仇になる事もあるので良かったです。コメント有難うございました…! (2015年3月26日 12時) (レス) id: d8750a893b (このIDを非表示/違反報告)
清河清明(プロフ) - こんにちは。友人の紹介で読んでみたら予想以上に面白く、通信規制の一歩手前までいってました(笑)台本小説でもなくスーパー完璧少女でもない彼女の生き様に久々に胸熱でした (2015年3月24日 18時) (レス) id: 07f2a719b6 (このIDを非表示/違反報告)
クローン(プロフ) - 名無しさん» おわわわ…! こちらこそコメント有難うこざいます。この作品に世界観なる物が作れていたようで光栄です! (2015年3月1日 7時) (レス) id: d9f1c78e75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:クローン | 作者ホームページ:ホームページはありません。  
作成日時:2015年1月11日 8時

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