愛 し い 君 と 。 （短編集）

過ぎちゃった、けど。 FRDCvo. ページ31

健司さん視点
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カチカチと秒針が進む

12の文字に3つの針が重なる。

2/14が終わってしまった。

手元にある花束と携帯が虚しく感じる。

昨日、いや一昨日

健司零明日会える?

とメッセージを送ってから返信がない。

返信だけでなく既読もつかない。

不安になってはぁっとため息をつく。

とその時チャイムが鳴った。

大急ぎでドアホンを覗くと、零。

ロックを解除して部屋の鍵も開ける。

1.2分して零が来た。

肩で息をして、鼻頭を真っ赤に染めて。

久しぶりの恋人を音が着くほど抱きしめる。

「けんじさん…！くるしいっ…！！」

そう言うから離してやり、

コートを脱がせてリビングに通す。

『零これ…昨日バレンタインやったから。過ぎたけど。』

「私もこれ！忙しくてギリギリ間に合わなくて…」

もうバレンタインとは言えなくて、

ただのプレゼント交換になったけど。

どれだけ忙しくても俺の事を考えてくれていた。

そう考えると君が愛おしい。

季節外れのカスミソウを嬉しそうに嗅ぐ零。

その顔。その顔の君が本当に可愛い。

さらさらの髪を耳にかけて

小さなキスを。

待ち続けた君からのチョコレートは

普段より甘い味がした。

君じゃないけど、 FRDCBa.→←どっちかは内緒。 斉唱箱庭vo.

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