出会いはネコでした 【弱虫ペダル】

RIDE.20 ページ20

〜巻島〜




だから……海は嫌って言ったんだ


それを勢いだけで乗り切られて、結局初日は海で遊ぶことになった


巻島｢おーいA」


部屋に様子を見に来ても返事がなかった






『もし金城さんに見られたら私死んじゃうかも』





そんなこと言ってた




血の気が一気に引いた




巻島｢A！おいA！！いるんだろ！！」


ドアを強く叩いて迷惑なぐらい叫ぶと、急に開いて思わず後ずさった



巻島｢よかった。生きてたショ」


｢生き……？あぁうん。まぁね」


見慣れた笑顔(かお)で言った


巻島｢無理に笑うなショ」


辛くても苦しくても笑顔でいるのはAの十八番だった



Aは緊張の糸が切れたようにブワッと泣き出した


｢裕く…わた……し、みんな……」


巻島｢Aは悪くないショ」


｢みんなの楽しい雰囲気(空気)壊した」



巻島｢お前のそういうとこマジで尊敬するショ！！！」



Aは昔から自分のために泣いたり怒ったりするような奴じゃなかった



いつだって誰かのため……



今回だってAは悪くないのに、自分のせいでって泣いた



本当にバカなんだよな






巻島｢落ち着いたか」


｢うん……」



巻島が｢それとさ、今日は両校の親睦深めるってことでBBQなんだけど」


｢行きたい 食べたい けど…」


Aはもう許してる


あんなバカなことをしたアイツらを


優しすぎて嫌になるぐらい



許してるけど、自分のせいで空気がまた悪くなるのが嫌なんだ



巻島｢オレに任せるショ！大事な幼馴染のために人肌脱いでやんよ」


｢頼もしいけど暴力はダメだよ」


巻島｢心配しなくてもやらねぇって。そもそも力じゃ小野田ぐらいにしか勝てねえショ」


｢それもそうだね」


巻島｢そこは、そんなことないっていう場面ショ」


｢祐くんの非力さは知ってマス｣


巻島｢たく……。元気になって何よりだ｣

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