３２話 ページ39
「ちょ、ちょ、ちょ！！急すぎない？！いや、いいんだけど」
「よかねぇよ」
そんな２人の言葉が、脳にまでちゃんと届いてこない。
脱獄決行が３０日後、１１月２８日？
原作と大分違うではないか…。
しかも、そんなに日付が狂ったら、物語にも影響が＿＿＿。
最悪の光景が頭を過ったのと同時に、何かがこみ上げてきた。
『(あぁ、やばいなこれ。物凄く気持ちが悪い…)』
襲いかかってくる吐き気を必死に抑えて、平然とした表情を作る。
だがやはり吐き気には勝てなくて、その場に屈み手を口に当てた。
「A？…Aッ？！」
いち早く私の状態に気がついたエマが、大きな声で名前を呼んだ。
生憎吐き気が全然治まらないので、言葉を発することさえできない。
見るからに焦っている彼女に対し、男子２人は至って冷静だった。
「一先ずハウスに連れていかなくちゃならない…。A、立てる？」
ノーマンが手を差し出してきたが、立つのには無理があったので微かに首を振った。
「風邪がまだ治ってなかったのか…？」と普段独り言をすることがないレイがそう呟く。
「…おいエマ、出来るだけ早くママを呼んでこい！」
「分かった！」
ぼやける視界に、段々と遠くなっていく後ろ姿が映る。あっという間にエマは見えなくなった。
レイがエマを選んだ理由は恐らく、彼女がハウス１足が速いからだろう。
私のためにそこまでしてくれるなんて、と考えると嬉しくなった。
この場に似合わない口元だけの笑みを浮かべていると、周りに他の子供達が集まってくる。
彼等はノーマンの指示で横になった私を見て、顔を青くした。
まだ小さい子なんかは、その瞳にうっすらと涙を浮かべている。
『(ただ吐き気がするだけなのに、まるで私が死んじゃうみたいじゃないか)』
家族の泣き顔は見たくなかったので丁度近くにいたシェリーの頭を撫でた。
瞬間。
「連れてきたよーっ！」
そう叫んで走ってきたエマの隣には、少し焦ったような表情のママの姿が。
そりゃあそうか、上物の商品に不都合があったら大変だもの。
「Aっ、何があったの？」
「森の中で"遊んでいたら"、急に蹲ったんだ」
話せる状態ではない私の代わりに、レイがそう説明をする。
ママはそれを聞くと、私の額に手を当てたりしてきた。
風邪がまだ治っていない、とでも思っているのだろうか。
『……う"』
呻き声を上げればママが顔色を変えた。
_____そして、浮遊感。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月19日 22時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
じ - 気になるバーバン。 (2022年10月17日 16時) (レス) @page37 id: 3b27f251de (このIDを非表示/違反報告)
嘘の仮面 - 一瞬13話で 我「あれれ〜？←コ○ン風味 セリフが最終回っぽいぞ〜？」ってなってた (2020年11月14日 16時) (レス) id: f9b0be6a5b (このIDを非表示/違反報告)
死にたい、、、のか？ - 好きなアニメがけっこうかぶってる、、、なでゅか、、、ガンバ。 (2019年10月6日 2時) (レス) id: 69368e2650 (このIDを非表示/違反報告)
スターフォロワー(プロフ) - 花風雪さん» ご報告ありがとうございます！今すぐ直してきます！ (2019年8月25日 17時) (レス) id: 8991ba4fa0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スターフォロワー | 作成日時：2019年4月2日 7時
