ママとほのぼのしたいだけの人生でした(後編) ページ33
ママがあの唄を口ずさみ始めたので、私は口を開いた。
『綺麗な旋律だね。なんて歌？』
その言葉を聞いた彼女は、一瞬…ほんの一瞬だが常日頃完璧だった仮面を剥がした。
恐らく、その脳裏に浮かんでいるのは昔の記憶だろう。
直ぐ様仮面を取り戻したママは、笑って言葉を発した。
「名前は、無いの」
『ママがつくったの？』
「いいえ、違うわ。…ママの大事な人がつくった歌よ」
大事な人、というのは絶対にレスリーのことだろう。
私は原作の台詞を思い出して、にっこりと笑いかけた。
『もっと聴かせてっ！』
少しの間を空けてから、ママはえぇ、いいわよと返した。
辺りにママの歌声が響く。
彼女の姿とレスリー姿が重なったのは、私の目の錯覚か。
蝶々がどこからか飛んできて、私達の周りに集まった。
ママは１匹の蝶を指先に止まらせ、僅かに微笑む。
果たしてそれは、本当の笑みなのだろうか。
『(...直ぐ疑っちゃうのは、私の悪い癖だ)』
思考を掻き消すようにして、頭を振りかぶった。
そして、前世で何回も聞いた唄を、ママに合わせて歌い始めた。
*
唄を歌い終わったのは、それから数十分後のことだった。
まだ他の子供達は、森の中で遊んでいる。
私は座っているママの足の間に、身体を滑り込ませた。
ふんわりと優しい香りが、鼻をくすぐる。
『...ママの昔のお話、聞きたいな』
「特に面白いことなんて無いわよ？」
『うーん...。じゃあ、ママがさっき言ってた、大事な人のお話は？』
その言葉を聞いた彼女は、何とも言えない表情で固まる。
レスイザ最高！と心の中で叫んでいたら、上から返答が降ってきた。肯定の言葉だった。
「そうねぇ...じゃあ、いくつかお話しましょうか」
わーい！と元気よく言って、彼女の話に耳を傾ける。
話の内容は主に、レスリーが達成したい目標リストや他愛のない毎日の話だった。
分かりにくかったが、ママの声はいつもより弾んでいた。
気がついたら、自由時間は終わりになっていた。
名残惜しいが、ママから離れ立ち上がる。
遠くの方に皆の姿が見えたので、そちらへ向こうと足を踏み出した。
...数秒後、私はくるりと方向転換をした。
そして、勢いをつけてママへと飛び込む。
何故そうしたのかは自分でも分からない。
「あら、どうしたの？」
『ママ、大好きっ！』
「ふふ、私もAのことだぁいすきよ」
＿＿＿あぁ、神様。この幸せがずっと続きますように。
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月19日 22時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
じ - 気になるバーバン。 (2022年10月17日 16時) (レス) @page37 id: 3b27f251de (このIDを非表示/違反報告)
嘘の仮面 - 一瞬13話で 我「あれれ〜？←コ○ン風味 セリフが最終回っぽいぞ〜？」ってなってた (2020年11月14日 16時) (レス) id: f9b0be6a5b (このIDを非表示/違反報告)
死にたい、、、のか？ - 好きなアニメがけっこうかぶってる、、、なでゅか、、、ガンバ。 (2019年10月6日 2時) (レス) id: 69368e2650 (このIDを非表示/違反報告)
スターフォロワー(プロフ) - 花風雪さん» ご報告ありがとうございます！今すぐ直してきます！ (2019年8月25日 17時) (レス) id: 8991ba4fa0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：スターフォロワー | 作成日時：2019年4月2日 7時
