２２話 ページ26
目の前に広がる、大きくて丈夫な塀。
私はそこから一旦離れ、近くの木に近づいた。
そして、ボール程の大きさの穴から、テーブルクロスで作ったロープを取り出す。
これは、ノーマンとエマが入手したものではない。
ハウスから脱獄する時に必要になるかなーと、私が予備として盗ってきたものだ。
『これを使って、上手くやれば...』
この塀を越えられる。
原作ではノーマンが余裕の表情でやっていたが、私には果たして出来るのだろうか？
さらに大雨が降っているので、とても滑りやすい。
...最悪なコンディションだ。
『まぁ、でも...何事も挑戦した方が良いって言うし』
そう呟きながら、太くて折れないような木の枝に、ロープを巻き付けてしっかりと結んだ。
ちらり、と背後に視線を向けて、誰もいないことを確認する。
私の目的は、ハウスから逃げることではない。
塀の先に崖があるということを知って、何もかもを諦めた＿＿＿という嘘をママに見せつけるためだ。
何故、と聞かれれば、その方が後々楽になるからとしか答えようがない。
『(ママのことだから発信器を使って、直ぐに私を見つけると思うけど)』
苦笑いを溢し、数歩下がって、高い高い塀を見据えた。
＿＿＿大丈夫、登れる。私なら、いける。
力強く１歩を踏み出して、全速力で駆けていく。
塀にぶつかる直前に、ロープを握っている手に力を込めてジャンプをした。
驚くことに私の跳力がめちゃくちゃあり、直ぐに塀の上まで登ることが出来た。
心配とか不要だったなぁ、と思いながら、辺りを見回す。
『うへぇ、深っ...』
塀の先にある崖を見て、思わずそんな声を出してしまった。
ここから落ちたら一体どうなるのだろう？全身を叩きつけられて＿＿と想像して、身震いをした。
雨の勢いはが徐々に増してく。
水滴が首筋に伝わり、服の中に容赦なく入ってきた。お陰で私はびしょ濡れだ。
それに体温まで低くなってきている気がする。
ザッ、と微かに草を踏む音がした。
大雨が降っているので、聞きづらいがこれは確実に足音だ。
私に聞こえるよう、わざと足音ををたてている？
まぁそんなことはどうでもいい。
後ろを振り返って、大きく目を見開き、瞳を揺らした。
勿論そんな驚きの表情を作っているのである。
『......ママ』
「やっぱりここに居たのね」
果たして、彼女を欺くことが出来るだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「転生」関連の作品
転生したら転スラの世界だった！？third
変人と仲間たちの反応記録[オリイカ]
しりとりが成立しないと激しい頭痛に見舞われるとかペナルティ重すぎません ！？��
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月19日 22時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
じ - 気になるバーバン。 (2022年10月17日 16時) (レス) @page37 id: 3b27f251de (このIDを非表示/違反報告)
嘘の仮面 - 一瞬13話で 我「あれれ〜？←コ○ン風味 セリフが最終回っぽいぞ〜？」ってなってた (2020年11月14日 16時) (レス) id: f9b0be6a5b (このIDを非表示/違反報告)
死にたい、、、のか？ - 好きなアニメがけっこうかぶってる、、、なでゅか、、、ガンバ。 (2019年10月6日 2時) (レス) id: 69368e2650 (このIDを非表示/違反報告)
スターフォロワー(プロフ) - 花風雪さん» ご報告ありがとうございます！今すぐ直してきます！ (2019年8月25日 17時) (レス) id: 8991ba4fa0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：スターフォロワー | 作成日時：2019年4月2日 7時
