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それから何回目かの実習。
いつも通り、呼んでもほぼ無反応の亮のことをを気にかけながら 他の園児に目を向けとったらクイ、と誰かに制服の裾を引っ張られた。
振り向くと、そこにおったのは 紛れもなく亮。
手にはいつも読んどる絵本が握られとって それを俺に差し出しとる。
何も言わずにじっと俺の目と絵本を交互に見とった亮が口を開いた。
「なぁ、えほん、よんでぇ？」
たった一言、そう言うた。
「…え？」
思わず聞き返しても ただ絵本を差し出すばかりで声は出さへん。
「あっ、絵本な？きみくんが読んだるな？」
初めて亮が口を開いたことに動揺しつつ、膝に乗せて絵本を読んだ。
亮はよっぽどこの絵本が気に入っとるんか、 2時間の実習の残り時間、
言葉なしにねだられて 何べんも繰り返し読まされた。
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作者名：ぱっちりおめめ | 作成日時：2017年10月18日 10時
