となりの京本くん

34話 ページ34

・




意識は京本くんに全集中してるけど、ノートを取らない

不真面目な奴だと思われたくないので、ひたすら文字だけを

書き写していた。


となりに座る京本くんも熱心にノートをとってる。

普段机の下でゲームをしてる人とは別人みたいだ。


…ちょっと聞いてみようかな。




｢今日はゲームしないんだね｣

｢日本史は好きだから授業ちゃんと聞きたいんだよね。

っていうか、佐倉ってよく俺のこと見てんの？｣




京本くんの視線を痛い程感じる。


なんて鋭いことを聞いてくるんだ。

すごい答えにくい…けど嘘はつけないよね。




｢たまーに見てます…｣

｢まじ？超恥ずかしいんだけど｣




ほんとに恥ずかしそうに手で口を隠す京本くん。

ごめんなさい、通報だけはしないでください。




｢ごめん、もう見ないから｣

｢誰が見ちゃダメって言ったの？｣

｢へ？｣




まさかの発言に言葉を失う。

京本くんはふふ、と嬉しそうに笑っていた。




｢俺べつに見ないでなんて言ってないし｣

｢じゃあ、いいの？｣

｢うん、佐倉ならいいよ｣




天使のような微笑みで見つめてくる。


やばい、これはやばい。

そんな顔向けられたらドキドキしちゃうよ…。




｢じゃあ合法ってことで、これからも見るね？｣

｢ふっ、佐倉って変なとこ律儀だよね｣

｢え、そうかな？｣



と聞けば、京本くんは頬杖をついてノートを

書きながら笑ってた。




こんなに胸がざわつくのはきっと京本くんのせいだ。






・

35話→←33話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す