となりの京本くん

16話 ページ16

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『もしもし？』


「もっ、もしもし」




いつもより低いけど柔らかい京本くんの声。




『あいつらが勝手に電話しちゃってごめん

びっくりしたでしょ？』


「ううん、ぜんぜん大丈夫」


『嫌だったら追加してしなくていいから』


「い、嫌じゃないよっ」




むしろ嫌なのは京本くんの方でしょ

って心の中で呟く。


傷つきたくないから口には出さないけどね。




「電話のあと追加する、ね」

『ん、』




「『……』」




だから沈黙は気まずいって！




『お前、もっと会話続けろよ！』

『俺代わろっか？なーんつってAHAHA』

『きょも、かあいいー』

『北斗なにしてんの？』

『頭皮マッサージ』




電話越しでも聞こえる賑やかな声。

田中くんデッレデレの声出してて吹きそうだった。

あと松村くん頭皮マッサージしてるの

めっちゃ気になるんですが。




『ごめん、うるさくて』

「全然！賑やかで楽しそう」

『ふふっ、うるさいだけだよ』




京本くん今笑ったよね？


え、初めてだ。

私と話すときに笑ったの。


笑った顔は見れなかったけど素直に嬉しい。




『…てか時間とか大丈夫？』

「うん、ちょうど結衣が席外してて暇だったから」

『そっか、じゃ、そろそろ電話切るわ』

「おっけー、あ！ジェシーくんに言いたいこと

あるから代わってもらってもいいかな？」




やっぱりお昼ご飯一緒に食べたいって

言っとかなきゃ。




『……それって俺がジェシーに伝えるのじゃダメ？』

「や、いいけど、うん」




でもジェシーくん今近くにいるよね？

ま、いっか。




『じゃ俺が伝えるから言って』

「えっと、断っちゃったんだけど、やっぱり

お昼ご飯一緒に食べたいですって伝えてほしい」


「……」




あれ、無言？

私なんかまずいこと言った？




『あのさ、もしかして佐倉って、

……いや、やっぱなんでもない、』




ジェシーに言っとくわって言って電話を切られた。


最後の京本くんが言いかけてたのは

なんなんだろう。


てか京本くんに名前呼ばれたのはじめてだ。

名前覚えてくれてたことに感動。




追加のボタンをタップして京本くんと友達になった。






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