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「…うん、わかった。でも私顔と名前覚えるの得意じゃないから自信ないよ？」
田「その時は望月さんにも協力してもらう」
……いや、莉歩もそこまで得意じゃないと思うんだ。
莉歩も莉歩で他人に興味無いから。
でも莉歩はスイッチ入るとすごいからな大丈夫かな。
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田「周りがどう言おうが、俺の彼女は矢田さん一択だから。それだけは忘れないで欲しい。だから、私が彼女じゃダメかもとか、そーゆー事はもう考えないで？」
さっきまであんなにバッキバキに怒ってたのに、今度は眉毛が少し垂れて子犬みたいな顔してくる。
すごいな、よくこんなコロコロ表情変えられるな。表情筋どうなってんの？って、全く別のことを考えてしまう。
これバレたら絶対ほっぺ掴まれる。
「うん、ありがとう。私も、彼氏は田中くんしか考えられないから」
田「っあ゛〜またそうやってサラッと！てかもうちょっと俺の言葉に照れてくれてもいいんだよ？」
「あ、ごめん」
田「いや、謝られるとちょっと違う」
「ええ？(笑)」
ちょっとおかしくなって、2人で笑う。
そろそろ帰るべって、田中くんの声で保健室から出る。
本日も田中君は南京錠を託されてたみたい。
「あ、ねえ、さっきなんで私の手にぎにぎしてたの？」
田「……それ聞く？」
「聞いちゃう」
田「…………そろそろ手、繋ぎたいなって」
「あ、え、うん、そっか」
田「いきなりそんな動揺すんな(笑)…ってことで、いい？」
「あ、ど、どうぞ」
遠慮がちに手が触れて、そのままスルッと絡められる。
いわゆる、恋人繋ぎってやつで。
田「うわぁー、やべー、嬉しい。でもめっちゃ緊張してる〜」
「嘘だ、全然余裕そうじゃん」
田「頑張って見せてないだけ。余裕なさそうにしてんのかっこ悪ぃじゃん」
そのまま手を繋いで、帰り道を歩く。
ちょっと嫌なことがあったけど、それ以上に大きな一歩が踏み出せたからチャラにしてもいいかな、なんてね。
コンビニに行こうと家から出てきた慎太郎にバッチリ見られて、バッチリ冷やかされたのは言うまでもないよね。
おわり
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作者名：ちゃん | 作成日時：2021年7月29日 7時
