おでこに優しいキスをして【4】 (ページ9)

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「Aが聞きたくない話たくさんしちゃうかもしれない

　し聞いちゃうかもしれないよ」

『大丈夫』

「Aの1番古い記憶ってなに？」

『1番古い記憶？』

聞けばやっぱり℃の家にきたときらしい

俺たちとの記憶は全くないようだ

「前にいたところのこと、どれくらい覚えてる？」

『覚えてるよ。いろいろ』

「海外だったか日本だったかわかる？」

『日本だよ？』

「それ絶対？」

『うん、小学校は途中まで学校いってたもん』

「まじかよ…」

小学校行ってたって

多分その学校のある地区に日本の屋敷があるんだろ

それすら探れてない俺たちからしたら

それだけ範囲を絞れるのは助かる

もう場所変わってるかもしれないけど

「なんで行かなくなったの？」

『Aがいい子じゃなくなったから…』

これ以上聞いちゃいけない気がして

こっから色々始まったのだとすぐわかった。

どうにか話を変えなくちゃいけない

『樹たちが私を買った理由と関係ある？』

「んー」

『あいつのことが知りたいの？あいつのパパのこと』

「Aなんか知ってるの？」

『樹になら話してもいいよ』

そう言いながらもAの目には

今にも溢れてるほどの涙がたまってて

ギュッと俺の服を握る手が強くなる

　

「話さなくていいよ」

「ごめんな。思い出させて怖かったな」

涙を拭って髪を撫でる

そーだよな…

忘れるわけ、傷が癒えるわけないよな

『ごめんね』

「ぜんぜんいいよ」

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