おでこに優しいキスをして【4】 (ページ33)

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メスを握っている時は無心だった

ただ目の前の手術に集中したい

なのに…

『ねーねーどんな感じ？』

『爪取れてる？』

『なんか見つかった？』

『ねーそっち見ていい？』

Aがうるさい

不安だから話しかけてくるんだろうけど

こっちもこっちで集中してるから

あんまり話しかけないでほしい

こんなにうるせぇーなら話し相手として

高地でも連れて来ればよかった。

あ、あった。

結構中の方にある小さなチップ

なんだこれ

どーやって中身みればいんだよ

PCに挿せる大きさでもスマホでみる大きさでもない

『ねーまだー？』

樹「とれたよ」

『ほんと？』

樹「動くな」

『ごめん』

あとは綺麗に縫い合わせて包帯を巻く

樹「はいできた」

『ありがとう』

『どれ？』

樹「これ」

きれい洗ってあとはどうやって中身を確認するかだけど…

樹「高地に持ってってい？」

『もちろん』

樹「行ってくるわ」

『私もいく！』

樹「まだ安静にしてたほうがよくね？」

『大丈夫だよ別に』

2人で高地の部屋に行けば

びっくりした顔してAを見る

高地「どーしたのその手」

樹「中入れて来れない？」

高地「ちょっと待ってて」

Aに見られたくないもの開きまくってるんだろ、

中に入るとモニターは全部消えていて

机の上は綺麗に片付けられてた

高地「ちょっとねぇ、やけど？なに？ねぇ、痛い？」

『大丈夫だよ』

そう言ってクスクス笑ってるA

樹「これの中調べてほしい」

高地「なにこれ」

樹「Aの指に入ってた」

高地「は？これお前が切ったの？」

樹「そう」

高地「最悪、A大丈夫？ごめんな？A」

『大丈夫だよ？私がしてってお願いしたの』

高地は悲しそうに、辛そうにAの手を見つめる

樹「できる？この中の確認」

高地「うん、たぶん」

樹「よろしくな」

　

それだけ言ってAと部屋を後にした。

　

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