おでこに優しいキスをして【4】 (ページ31)

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樹「A、起きてる？」

『樹？』

樹「一緒寝てい？」

『甘えた樹くんだぁ〜』

時々Aと寝てる俺

Aがいつも言えないこととか聞けないこととか

この時間だけは素直に言ってくれるから

たまに自分から作るこの時間

Aも少し嬉しそうに見えるのは俺の勘違いか？

『ねぇー最近思い出したことあるんだけど』

樹「なに？」

『あいつの家にいる時一回手術？したの』

樹「は？どこ？」

傷跡一つなかったけど

どこを手術したというんだ

『ココ』

そう言って人刺し指と親指を擦り合わせる

樹「触っていい？」

『うん、わかんないと思う』

樹「何で手術？」

『なんかチップみたいなの入れるとか、なんとか、、』

チップにしては柔らかいけど…

『わかんないかもしれないけどほんとなの』

樹「まじか…」

『長風呂した後だとわかりやすいよ』

取っていい？って聞こうと思ったけどやめた

Aのこの綺麗な指に…

『取っていいよ』

樹「でも、」

『明日取れる？これのせいで仕事忙しかなってるんじゃない？』

樹「違うよ」

『これで私の場所わかったりするのかな？』

一瞬それもよぎったけど

そうじゃない

だとしたらとっく昔に襲撃されてるはず

Aの指に入れるなんて、あいつら何考えてんだ

『ねねー樹はAの何を知ってるの？』

樹「何でも知ってるって言いたいけどなぁ」

『ぎゅっとして』

樹「うん」

『落ち着くなぁ、樹の腕の中は』

樹「ん」

子供の頃よく一緒に寝てた

目を開けばAがいて

まだ寝れるなって安心して二度寝する

幼い頃の淡い記憶を思い出す

『あの絵本と同じ』

樹「絵本？」

『優君に前もらった絵本、
　覚えてないのになんか懐かしくて何度も読んじゃった』

あぁ、あれか

幼い時Aが好きだった絵本

前に高地がAに渡してた

そりゃそう、一緒にいたんだから

第6感ってやっぱりあるのかな

『明日取って』

樹「爪なくなるかも？」

『また生えてくる？』

樹「うん」

『じゃーいいよ、早く取ってほしい』

樹「俺がとるの？」

『樹がいい』

樹「うん」

こわい

俺以上にきっとAの方が怖いのに

俺は一晩不安で眠れなかった。

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