おでこに優しいキスをして【4】 (ページ3)

今日:31 hit、昨日:87 hit、合計:117,515 hit

130 ページ3

・

『いってらっしゃい』

ジェシー「いってきます！」

『気をつけてね』

エレベーターの前

Aにハグをしておでこにキスを落とす

もう見慣れたこの光景

習慣化されてしまったけど

俺はほとんどされたことはない

ほとんど家にいるし

外に出るときは大概Aも一緒だから

されるのは俺が薬品調達に出かける時くらいだ

なんかちょっとずりぃなって思うけど

ずっとAと一緒にいること

他のみんなからすれば俺のことずるいって思ってんだろうな

ないものねだりってわかってっけど

やっぱりずるいなってちょっと思う

甘えることもほとんどなくなったA

数年前に樹、樹って懐いてた頃を思い出すと

なんだかちょっと寂しかったりもする。

『樹！ちょっとどいて』

樹「あーうん、ねぇ、A」

『なに？』

樹「抱っこしてあげようか？」

『は？なんで？やめてよ』

樹「こーちー！俺寂しい！」

同じ部屋にいた高地に愚痴をこぼす

高地「いや、めっちゃわかる」

樹「だよな！」

高地「ちょっと前までひっつき虫してたのにさ〜」

樹「まじ親の気持ち」

高地「たまにはAの寝かしつけしたい」

意気投合した高地と

Aの昔話に花を咲かせる

Aは掃除と洗濯をしてくれていて

俺たちの話を聞いてるのか聞いていないのか

よくわからないけどまぁ、いい。

洗濯も掃除も料理もゴミ出しも

もう、家のことはなんでもできちゃうA

この家のほとんどがAで回ってる

たまに高地もやってるけど。

6人分の男の洗濯物も料理も大変なのに

率先してしてくれて文句ひとつ言ったことはない。

ちょっとくらい文句の1つや2つ

言ってもいいのに

言わないのか言えないのか

それもなんかちょっと寂しい

・