愛情と幻想 (ページ29)

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桃「…お家綺麗にしてる？」

緑「え！あ〜、大丈夫だよ！暮らせるし！」

きょもは、以前俺が病気にかかったときも一番に心配の連絡をしてくれて

会えるようになった頃には家に来て「慎太郎のこと小さい頃から知ってるし、俺になら何見られても平気っしょ？」なんて言いながら俺の部屋の掃除や料理、その他の家事をしてくれたりもした

全然元気だったし、なんなら自分で食品を取り寄せてご飯も作っていたりしたけど

きょもはそれでも心配だったようで、こうして今もたまに気を遣ってくれる

そのおかげか、そのせいか、俺は良くないことばかり考えてしまう癖がついたんだ。

桃「うーん……」

緑「あ！そういえば前に貰った魚がそろそろ…仕方ないか………」

桃「お魚？」

緑「ん〜そう、前仕事で海行ったときに色々貰ってさ。捌いてはあるんだけど、消費出来てなくて……最近家のこと全然出来てないから、凄え残っちゃってるんだよね…」

ま！どうにかなるでしょ！と言ってみせれば皆が食い付いてくるのも想定内

きょもはまた、心配そうに俺を見てくる

緑「ええ、まじ？来てくれるの？」

赤「行きたい行きた〜い、皆で慎太郎の家押し掛ける。北斗も来るでしょ？」

黒「ああ…皆ででしょ？じゃあ行こうかな」

青「俺お酒飲む」

赤「ビールビール、高地はジュース」

皆が好き勝手言ってる中きょもは嬉しそうに微笑みながら

俺の服の裾を引っ張ってソファに座らせた

そして俺の隣に浅く腰を下ろして、こそこそと俺の耳に口元を寄せる

ふわりと香る柔軟剤の香りに…

胸が、焼けるような思いで堪らず深呼吸をしてしまう

桃「皆ああ言ってるけど、平気？」

緑「うん、嬉しいよ。皆で飲むの好きだし。外じゃないからいい話もできるでしょ」

桃「…でも慎太郎、疲れてるんでしょ。溜息ついてたし…」

緑「いや、それは…」

俺の単細胞な身体がきょもの香りに欲情してしまった、その後ろめたさから言い訳しようと思ったけど

嬉しい誤算も全て上手く利用しなくちゃいけない

俺のちっぽけな脳みそは、きょもの為にあるようなものだ

緑「じゃあ今日は隣座っててもらっていい？」

今日、俺は君だけを守る為に、君以外を犠牲にしてしまうんだ。

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