愛情と幻想 (ページ24)

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囚姫（黒桃）ページ24

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『大我』

「………」

彼の名前を呼んでもなぜか返事は無い

『ねえ？』

目の前に居る当の本人は、ソファに腰を深くして座り

対して好みではないだろうバラエティ番組を1ミリも笑わずに見ているだけ

『ねえって』

肩に手を伸ばして、最近男らしくなった身体を揺さぶってみても返事をしてくれない

「……」

え……あれ、俺死んだ？

もしかして、本人が死んでることに気づいてないっていうありがちなやつ？

落ち込んでる奴見て気付くってやつ？

嘘じゃん？そんなの。俺死んでないよな？

「……ばか」

…待てよ、俺まさか………本当に…………

『っ、たぃ』

「何が俳優だよ。あんなシーンばっか見させられて、ほんとムカつくこのばか北斗」

『えっ』

バッ！と勢い良く振り返ってきた大我は俺を確かに見ている

しっかり、目があっている

『あぁ………よかった…………』

「は？なにがよかったの？」

でもそうだ、俺は大我の肩に触れられたし、大我は俺に揺さぶられてた

『俺居なくなっちゃったのかと思った』

「え、なんの話？」

『何度も無視するから……』

きょとん、としていた愛らしい顔が次はムッとふてぶてしくなる

どんな顔したって、彼は可愛いな

「だってお風呂遅いんだもん、俺のことどんだけ待たせる気？一人で北斗が出てるドラマ見てイチャイチャしてるとこ垂れ流されて、もうキレそう」

捲し立てるように早口で喋り出したかと思えば、ふんっ！とまたテレビの方へ顔を向けてしまう

もうキレてるじゃない？なんて言葉は飲み込む。

あくまでここは穏便に。なぜなら彼はお姫様だから

可愛すぎて、ウォーターサーバーの水が入ったグラスを持つ手がわなわなと震えた

『ドラマ？』

「すごいちゅーしてるじゃん、なんなのあれ」

そうか…今日は月曜だった。最近忙しすぎて、曜日感覚を失っている

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