重力と呼吸 (ページ6)

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緑「きょも先生！」

桃「しっ！保健室では静かにって何回も言ってるでしょうが」

緑「えー誰も居ないじゃん」

あの日から毎日、ジェシーと高地も連れて昼食時は保健室に来てご飯を食べている

用が無くてもここに来るようになった俺らに、きょもは毎回戸惑いながらも何も言わずに居座らせてくれる

青「きょも、今日の飯なに？」

桃「…弁当だけど」

青「え、初めて見た。手作り？」

桃「そうだよ」

緑「ちょ、まって、もしかして彼女？」

なあ頼むから縁起でもないこと言うのやめろよ

なんてちょっと焦ってしまう

あだ名で呼ぶことも最初は何度か「先生だから」と嫌がっていたけど、今は受け入れてくれて

きょもは優しい

来る者を拒まない

桃「自分で作ったの」

黒「マジ？見せて。俺も自分で作ってんの」

赤「落ち着きないね皆」

黄「お前が優勝だけどな」

あんなに人と距離を取りたがる北斗でさえも、きょもには積極的に話し掛けている

ジェシーと高地は、基本二人でくっついている。というよりはジェシーが高地の隣を占領しているだけなんだけど

青「今度俺にも作ってきてよ」

桃「はぁ？自分のだけでも手一杯だからムリ」

青「じゃあ今度デート行こうよ」

桃「あのねえ、何度も言ってるけど俺は先生なの。」

箸を止めて、むすっとした表情で俺を見上げる顔が今日も愛らしすぎる

隅に置いてあるパイプ椅子をきょもの隣に持ち寄り

購買で買った焼きそばパンを食べながら綺麗な横顔を見つめると、眉間に皺を寄せたきょもがまた俺を見た

桃「皆と一緒に向こうで食いなよ」

青「きょもの隣がいい」

桃「…あっそ」

俺の渾身のアピールは、綺麗に箸を持つ手を止めずに聞き流される

どうやったらこの人の視界に入れるんだろう

黒「そういやきょうもっちゃん、健康診断の結果まとめなきゃだよね」

ジェシーの隣で弁当を食べる北斗がきょもに話しかけた

口の中いっぱいにご飯を詰め込むきょもは吃驚して咀嚼を早め、ごくりと飲み込む

桃「ん、それはもう終わるけど、次は保健指導があるからね」

黒「忙しいじゃん。そんな時に俺らうるさいよね」

桃「…松村くん優しいね。大丈夫だよ、皆居ないときに進めてるから」

もしかして、俺より北斗の方が先生からの印象良いんじゃないの？

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