重力と呼吸 (ページ30)

今日:16 hit、昨日:10 hit、合計:148,790 hit

. ページ30

.

青「…それが嬉しかったんなら、答え決まってるね」

すると、うーん…と唸り始めてまた無言になるきょも

青「いいんじゃない？仕事に影響出ないようにすれば」

桃『樹は、いいの？』

青「え？」

もしかして…

桃『偏見とか、無い？引かない？』

そんなわけがなかった。だってきょも、凄い鈍感だから

期待してしまったのがバカだ

俺の好意に気付いていて、俺に気を遣ってくれてるんじゃないかって

有り得ない話だったけど

青「ハッ、無いよ。2人が仲良いと俺も嬉しいし」

桃『…そっか、よかった』

青「安心して」

桃『いつもありがとうね。…樹は俺の1番の相談相手だよ』

青「こちらこそ、それは光栄だわ」

それから3度目の無言

少しずつ、虚しくなっていく

心が廃れ始める

相談相手から踏み切れなかった一歩がデカすぎたと痛感

青「あー、ゲーム始まるから切るわ」

桃『あっ、ごめんね、話聞いてくれてありがとう』

青「おう。じゃあ、また明日」

桃『また明日。おやすみ』

青「おやすみ」

プツリと切れる電話

トーク画面に切り替わる液晶

未だにマッチしないゲーム

…やっと、目に映るもの全てに嫌気が差してきた

このまま気を緩めたら、立ち直れなくなるくらい惨めに泣いてしまいそう

ゲームのBGMが煩く感じる

青「…酒」

酔って忘れたい。こんな悲しい記憶、捨ててやりたい

これからも、2人の距離感を焦れったく思いながら眺めていたかった

.

黒「だとしたらそれは大我がやるべきだね」

短期間でそんな変わるかってくらい

呼び方も、会話の内容も、服装も、匂いも

桃「絶対にやだ」

黒「俺が居ない時は大我がやっつけなきゃ」

桃「いや、北斗の仕事だから。俺のこと守ってくんないと」

黒「ナイトだけに？」

桃「…」

黒「今のは俺が悪かったわ」

桃「うん。だからこれからも北斗がやってね」

きょもの大嫌いな虫が出たら退治するのは誰かっていうくだらない話

呼んでくれれば俺がいつでも駆け付けてやんのに

きょもには北斗が居る

あの電話から1週間も経ってない

だけどきょもは北斗の家で過ごしているらしく半同棲状態だし、柔軟剤の香りも一緒

.