重力と呼吸 (ページ28)

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きょもは自分のことに鈍感だから気付いてない

気付かずに、期待させるような態度を取って甘えて相手のことを受け入れる

北斗はそこに見事にずるずる引きずり込まれてる

桃「あ、樹も行く？」

俺が2人をずっと見ていたことに気付いたきょもは俺に声をかけてきた

北斗と目が合う

無表情

もう何年も一緒に居るから、その中に何が含まれてるのか若干感じ取れる

樹、マジでそれは今日じゃないからな

って

青「俺ゲームの約束あるんだよね」

桃「そっか、それは大事だね」

………アホ、アホだアホ

きょもと比べたらゲームなんて1ミリも優先すべきことではないけど。

黒「あー、それは仕方無いわ」

思ってないくせに残念そうな声色

ムカつくけど、憎めない

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ゲームのマッチ待機中、通知音が鳴りふと携帯に目を向ける

開いてみると、こんな時間に珍しくきょもからだ

『今電話かけていい？』

北斗と飯に行ったんじゃないかと思いつつ、了承の返信をするとすぐに着信画面に切り替わった

青「もしもし」

桃『樹、どうしよう』

それだけで、なんとなく分かってしまった

戸惑っているような言葉

だけどその声のトーンは高く、柔らかい

青「…なにが」

桃『待って、これ言っていいのかな』

青「それは分からないけど」

桃『…あのね、俺、北斗に告白されちゃった』

まあでしょうね、なんてのは引っ込ませる

あくまで驚いてるみたいに。

青「おお…え、どうすんの？」

自分に腹が立ってきた

好きな人が他の奴に告白されたって言ってるのに

なぜ焦りもせずに落ち着いて話を聞いてるんだ

ここで口説き堕とさなきゃ、アイツに取られる

でも凄く冷静で、どこか他人事のように思ってることが心底ダサい

それだけ大人になったってことでいいんだろうか

桃『分かんない、どうしたらいいんだろ』

青「んー。きょもは北斗のこと好き？」

桃『うん、好き』

青「俺のことは？」

桃『メンバー皆好きだよ。嫌いな人なんか居ない』

うん、好きって言えよ

俺のことを聞いたら即座にメンバー引っ張り出して来るなんて

無自覚に傷付けられる俺の身にもなってほしい

青「じゃあ、俺が告白したらどうする？」

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