重力と呼吸 (ページ15)

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黒「俺が世話するから」

桃「当たり前でしょ。メンバーにバレるのが嫌なの」

それから労るように俺の腰を擦って、額に唇を押し付けてくる

「なんて良い朝なんだ」とか思ってるんだろうな…

黒「ほっくんと昨夜気絶するまで愛し合ったおかげで身体が痛いからみんな優しくしてほしい、って言えばいいんじゃない？」

……まさに絶句

涼しい顔でありえないことを飄々と言ってのけて、ここまできたらもはや清々しいくらい

それに、気絶するまで " 愛し合った " わけじゃない

俺はもう辞めてくれと序盤から向かい合っていた矢印をへし折ってやったのに

桃「バカじゃないの？」

黒「どうして？」

さも当然と言わんばかりに目を大きくさせて口を窄める表情に溜息が溢れる

桃「そんな恥ずかしいこと言えるわけないじゃん。」

黒「大丈夫。大我は可愛いから何でも許されるよ」

目を線にして微笑む北斗が本格的に嫌になってきた

これで許されたって嬉しくない。

「獣みたいに盛った奴のせいで俺の身体がボロボロです」「そっかそっか仕方ないね」だなんてなるわけあるか

喉が無事なだけ救われたと思う

桃「俺が許されても北斗は許されないから」

黒「平気。俺今日調子良いし」

とうとうまともに会話も出来なくなった北斗に朝から疲れると思い始めたとき、北斗の携帯から軽快な音楽が流れる

下に車が着いたらしい

黒「よし、行こっか？」

腰を抱いたまま玄関まで向かおうとする北斗の腕をペシッと叩いてやった

なのにこの男ときたら「ああなるほどね」なんて顔をして、俺に背を向けて屈んだ

何が悲しくてプライベートでおんぶなんかしてもらわなきゃいけないんだよ

朝から口数も多いし行動もうるさい、ちょっと鬱陶しい

北斗の横をすり抜けて鞄は預けたままサンドイッチだけ持ち玄関に向かうと、後ろから愉快そうに鼻で笑う音が聞こえた

黒「世話してやるって」

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