重量級 (ページ9)

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それは、狡いだろ。好きじゃないわけがない。恋愛かどうかは別として、同じ生物として俺はこの人が好きだ。尊敬とか、憧れとかそんなもので。決してキスをしたいとか、抱きしめたいとか、そんなことは思ったりしない。…でもどうだ？京本から、もしも、もし強請られることがあったら俺はそれを気持ち悪いと思うか？すぐに心の底から拒否できる感情で間違いないか？

…いや、求められたらするでしょう。それもイヤイヤとかじゃなく、喜んでジャンプなんかしながら近付いていきたいくらい。俺って本当に、物凄く気持ち悪い。

「まあいいや。わからないなら時間あげるから、わかったら北斗から告白してきて」

『この話の大前提として、俺は京本を好きってことね。』

「俺がここまで言ってあげても気づいてないみたいだけどね。」

正確には半分気付いているけど認めたくない。

もし認めてしまえば、あの時大勢の中の一人だと勝手に傷付き自分から距離を置いた理由も、京本が先輩に遊びに誘われている様子を目の当たりにした瞬間の俺の感情も、それに快く応える京本に腹が立ったのも、透き通るような白い肌や澄んだ瞳を羨ましいと思う憧れも、京本に向けられた「あわよくば」とよからぬ事を考えている輩の獣目の見分けをすぐにつけることができてしまうことも、全部全部京本の言う" ソレ "だけで片付けられてしまう。複雑な男で居たいんだ俺は。一生掴めない不思議な人だと思われていたいし、掴んでみたいと思われたい。

考え込む俺を放って『CASH』と掲げられたレジ方面へ向かう京本を追い、カートを押して再度隣に並べば天使みたいな顔で「先に行けよ、並んどけ」と鬼嫁みたいなことを言い出す。素直に従っちゃう俺は尻に敷かれる才能に長けているっぽい。

でも待てよ。俺が告白したら京本はどんな返事をくれるんだ？俺からの告白を待ってるということは快く受け入れて、晴れて俺らはお付き合いの関係になるってことで間違いない？俺の先走りとか、ないよね？『俺京本のこと好きでした付き合ってください』「は？キモイんだけど。何でそうなんの？お前俺のこと好きだよなって確認しただけ。間違っても俺様に気安く告白なんかしてくんなよ。社会的に抹殺されたくなきゃ今すぐ失せろ」とか言われちゃったりしないよね？俺様キャラ急に出してくるから、油断出来ないしなかなか惨いことも彼なら言いかねない。

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