重量級 (ページ2)

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「夜ご飯みんなで作るから、買い出し。スーパー着いたらちょっとだけカメラあるみたい」

すぐに行く、と伝えてショルダーバッグから財布とスマホとリップクリームを取り出す。

夕方の早い時間からここに入れられたということは、そりゃそうだよな。綺麗過ぎるアイランドキッチンあったし。ご飯作って動画用にゲームして、あとはなんだっけ？…あぁ、そういえば、旅行とは言っても夜は少しだけ、次のアルバムの話し合いをする時間があるんだ。もう3枚目か。1枚目のユニット曲は京本と出来たの、案外良かったなぁ。如何せん京本の真っ白な背中は刺激が強すぎて、あれだけは止めに入りたかったけど、仕上がりを見たら何も言えなかった。綺麗な肌が惜しげもなく晒されることには本音を言うと猛反対な気持ちでいたが、それでも陶器のように滑らかな彼の肌は下品に映らず、神聖なものを感じた。皆にもそういう風に見えていてほしい。決して卑しいものを覚えないでほしい。だって、

「北斗、呼ばれてるから早く行かないと。ノロいよ」

あれ、俺そんなゆっくり準備してた？前までの尖っていた俺なら、先に行ってて、なんて無愛想に吐き捨てていたけど今は違う。不仲ともイジられなくなって、気まずかった俺と京本はよく話すようになって、周りが騒がしい中、よく目が合うようになった。京本もこうして俺を待ってくれているし、もう決別した雰囲気は無い。

ごめんごめん、とハンドクリームを塗ってから立ち上がれば「相変わらずマイペースだね」と言われた。なんだ、自分のペースで丁寧な暮らしをして悪いか？人を待たせているから悪いか。相も変わらずマイペースな俺を、変わらず待っていてくれる京本。二人部屋も、そこまで気を張らなくてもいいのかもしれないと思い始めていた。のに

「あ、その匂い好きなんだよね。ちょっと良い？」

俺の手に、無鉄砲に両手で触れてきたと思ったら、将来金銭に悩むことはない、と言われている高々な鼻の先にツンと当てられ、瞼を閉じながらすぅ、空気を肺いっぱいに吸い込んだ。なんだ？なんだこれ？何が起こってる？

白痴状態。茫然自失。目の前には、うんうん、そう、これこれ。と頷きながら満足そうに目尻を垂らした京本の姿。………あ、早く行かなきゃ。待たせてるんだった。こんなところでこんな風になっている場合じゃない

『行くよ』

「ちょっと、俺が待ってたのに自分が先に支度終わったみたいな言い方しないで」

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